講義No.12149 住居学 生活科学 理工系その他

生活を「測定」し、快適かつ健康的な住環境を創り出す

生活を「測定」し、快適かつ健康的な住環境を創り出す

快適な生活に重要な温熱環境

健康的な毎日を過ごすために、快適な住環境は欠かせません。住居の環境というと、光や音、温度、湿度などがありますが、快適性を左右する重要な要素となるのが、暑さ・寒さに関する「温熱環境」です。暑くもなく寒くもない、「ちょうどよい」と感じる温熱環境は人によって異なります。しかし、こういう服装で、このくらいの動きをする人の「ちょうどよさ」は、これまでの研究により数値として把握できており、エアコンの自動制御などに活用されています。また、体感温度に個人差が出やすいオフィス用機器への導入も進んでおり、誰にとっても快適な温熱環境を実現し、生産性向上につなげようという企業も増えています。

よい眠りを得るために

就寝中も温熱環境は変化していますが、暑くて寝苦しいときはエアコンをつけたり、寒いと思ったら布団を1枚増やしたりして調整することができます。しかし病気やケガなどで体を動かせない場合には、誰かの助けが必要です。その助けを、技術で担う研究がなされています。よい眠りに効果的な制御方式を導き出すため、温度・湿度・照度などの環境条件のほか、寝ているときの体温、血圧、皮膚温、脳波など個人の快適性を測ります。そして、どんな温度や風の制御をすれば安全で快適な睡眠を得られるのか、基礎データの収集・解析と自動制御を可能にする機器の開発が進められています。

危険な暑さを知らせ、行動を促す

夏場は、気温の上昇とともに熱中症も増加します。熱中症は炎天下での運動や長時間の屋外労働で起こるもの、というイメージがありますが、高齢者の場合は室内で発症することがよくあります。温度に対する感覚が衰え、室内の温熱環境の変化に気づきにくいことが原因です。そこで、室内の温度や湿度が一定水準に達したことを、音や色によって知らせる機器の開発も行われています。知らせを合図にエアコンをつけ、水分を摂取してもらえば、高齢者の熱中症を減らせるとして期待されています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

奈良女子大学 工学部 工学科 教授 久保 博子 先生

奈良女子大学 工学部 工学科 教授 久保 博子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

建築環境工学、人間工学、福祉工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

身の回りのことに目を向けると、生活を豊かにするために、また誰かのために、あなたが変えられることがたくさんあることに、きっと気づくはずです。生活環境の中には「測る」ものがたくさんあります。その結果と、世の中に存在するさまざまな基準とを、ユーザー目線や批判的精神を持って比較しながら、健康かつ快適に暮らせる社会を探究していきましょう。
工学部では、自分たちの生活をバージョンアップする、さまざまなテクノロジーを学びます。そこから考え、社会に発信する力を、一緒に身につけましょう。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

奈良女子大学に関心を持ったあなたは

世界に誇れる文化と歴史に包まれた静かな環境の中で、奈良女子大学は、時代や社会の要請に応え、女性の高等教育機関として、高度な学術研究に基づく教育環境を提供し、自立して社会で活躍できる女性人材を養成しています。