生活を「測定」し、快適かつ健康的な住環境を創り出す
快適な生活に重要な温熱環境
健康的な毎日を過ごすために、快適な住環境は欠かせません。住居の環境というと、光や音、温度、湿度などがありますが、快適性を左右する重要な要素となるのが、暑さ・寒さに関する「温熱環境」です。暑くもなく寒くもない、「ちょうどよい」と感じる温熱環境は人によって異なります。しかし、こういう服装で、このくらいの動きをする人の「ちょうどよさ」は、これまでの研究により数値として把握できており、エアコンの自動制御などに活用されています。また、体感温度に個人差が出やすいオフィス用機器への導入も進んでおり、誰にとっても快適な温熱環境を実現し、生産性向上につなげようという企業も増えています。
よい眠りを得るために
就寝中も温熱環境は変化していますが、暑くて寝苦しいときはエアコンをつけたり、寒いと思ったら布団を1枚増やしたりして調整することができます。しかし病気やケガなどで体を動かせない場合には、誰かの助けが必要です。その助けを、技術で担う研究がなされています。よい眠りに効果的な制御方式を導き出すため、温度・湿度・照度などの環境条件のほか、寝ているときの体温、血圧、皮膚温、脳波など個人の快適性を測ります。そして、どんな温度や風の制御をすれば安全で快適な睡眠を得られるのか、基礎データの収集・解析と自動制御を可能にする機器の開発が進められています。
危険な暑さを知らせ、行動を促す
夏場は、気温の上昇とともに熱中症も増加します。熱中症は炎天下での運動や長時間の屋外労働で起こるもの、というイメージがありますが、高齢者の場合は室内で発症することがよくあります。温度に対する感覚が衰え、室内の温熱環境の変化に気づきにくいことが原因です。そこで、室内の温度や湿度が一定水準に達したことを、音や色によって知らせる機器の開発も行われています。知らせを合図にエアコンをつけ、水分を摂取してもらえば、高齢者の熱中症を減らせるとして期待されています。
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先生情報 / 大学情報
奈良女子大学 工学部 工学科 教授 久保 博子 先生
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