更年期は向き合い方で症状はどうなる?

薬を使わずに症状を軽く
日本人女性が閉経する平均年齢は50歳前後と言われています。その閉経の前後10年が「更年期」です。更年期では、女性ホルモンの減少により、発汗や疲労など体に不調が現れることがあります。こうした更年期症状を、薬を使わずに健康教育で軽くしようという研究があります。心理療法の一つである認知行動療法からアプローチする方法です。認知行動療法は、ホルモン補充療法を好まない女性や薬物治療ができない女性に適していると考えられています。
また、リラックスや呼吸を促すこと、アロマセラピーを生活の中に取り入れる工夫も症状緩和に効果があります。
更年期のイメージを変える
更年期には「生理が終わると女性でなくなる」「症状がつらい」といったネガティブなイメージがあるのは事実です。アンケート調査では、そうしたネガティブなイメージをもつことが、本人の更年期症状を強くすることがわかりました。そこで、考え方を変える認知行動療法が有効だと言われています。何か出来事が起こった瞬間に、冷静に考えて、良い方向にとらえ方を変える練習をすることが認知行動療法です。また、健康講座では、更年期の正しい知識を知り、更年期をポジティブにとらえるよう促したり、自分の性格傾向を知ることも伝えていきます。
女性が働きやすい環境づくり
働いていると突然、体が熱くなり汗だくになる「ホットフラッシュ」という更年期症状が出る人がいます。更年期障害と呼ばれる重い症状になると、仕事を辞めてしまう女性もいます。特に仕事や家族を優先しがちな女性には、自分の健康に目を向けるよう伝えます。更年期もその先にも人生はつながっており、更年期を大切に過ごすことにより、健康な老年期を迎えられるからです。
薬による治療もありますが、日常生活に取り入れることができる認知行動療法によるアプローチは年々ニーズが高まっています。女性が働きやすい環境をつくることに貢献できる研究であり、データの収集と効果の検証が今後深められていきます。
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静岡県立大学看護学部 看護学科 准教授永谷 実穂 先生
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