「ば」「と」「たら」「なら」の違いは? 条件表現について考えよう
条件表現とは何か
日本語の中には、条件表現と呼ばれるものが4種類あるといわれています。条件表現とは、「この薬を飲めば、熱が下がる」のような表現ですが、この「~すれば」がその1つです。その他に、「~すると」「~したら」「~するなら」という言い方があります。まとめて「ば・と・たら・なら」といわれることもあります。この4つを学ぶことは、日本語が母語でない学習者には簡単なことではありません。これらはどのように違うのでしょうか。日本人は一体どのように使い分けているのでしょうか。もし外国人からそんな質問をされたら、どんなふうに答えますか。
「ば」「と」「たら」「なら」の使い分け
「■■に行けば、~」という場合、その後ろには、「○○できる」など、可能表現・ポジティブで肯定的な表現が入ることが多くなります。「■■に行くと、~」となると、「疲れる」「お金がなくなる」などの否定的な表現が入る割合が増えます。「■■に行ったら、~」の後には、「写真を撮ろう」という意志や、「○○に会いたい」という希望、「お土産を買ってきてよ」という働きかけがよく出現します。「■■に行くなら~」の場合は、「電車がいい」「お金を下ろしておいた方がいい」といった評価や提案の表現が後に続きます。どうやらこの4つはそのように使い分けられているようです。
こうしたことが調査で分かったとしたら、次に、これをどのように整理することができるでしょうか。どのような「文法規則」としてまとめることができるでしょうか。ここが文法研究の面白いところです。
日本語教育の現場で求められること
条件表現の使い分けの「文法規則」がまとめられたとしても、それをそのまま学習者に教えることが効果的であるとは限りません。さらにそれらを学習者のために整理し直す必要があります。これを「日本語教育文法」と言います。言語学的な文法規則を日本語教育のための文法規則に組み立て直すところに、日本語教育文法の面白さがあります。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
学習院大学 文学部 日本語日本文学科 教授 前田 直子 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
日本語学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?