食生活の改善が高齢者の糖尿病と筋肉量低下の悪循環を断ち切る
糖尿病になると筋肉が減りやすくなる
糖尿病は、体内の「インスリン」というホルモンが十分に働かないために血糖(血液中のブドウ糖)が増える病気です。放っておくと心臓や目、腎臓などの病気につながるため、血糖のコントロールが必要です。
さまざまな研究から、糖尿病になると筋肉量が減りやすくなること、また筋肉量が減ると糖尿病になりやすくなることがわかってきました。誰でも年をとるにつれて筋肉は落ちていくため、特に高齢者において、筋肉量が減って糖尿病が進み、糖尿病が進むとさらに筋肉量が減るという負のサイクルが課題となっています。
「食べすぎ」も「食べなさすぎ」も要注意
「食べすぎ」は血糖値を上げるため、糖尿病の看護では食事指導・支援がとても大切ですが、高齢者の場合、「食べなさすぎ」で筋肉が減ってしまうことも問題です。そこで、どのような食事をとれば筋肉を増やして糖尿病を予防・改善できるのか、高齢の糖尿病患者の食生活に関する研究が看護学の分野で行われています。
筋肉をつくる栄養素として、タンパク質やカロテノイドが知られていますが、「いつどのように食べるか」もポイントです。筋肉量を低下させないためには1日3食、きちんと時間を空けてとることが大切ですが、一人暮らしの高齢者は朝食抜きや1日1~2食の人も多く、食生活のトータルなサポートが求められています。
アジアの国が注目する日本の高齢者研究
超高齢社会の日本では高齢者の健康や病気に関する研究が数多くあり、高齢化が進みつつあるアジアの国々から注目されています。アジア人は欧米人に比べ遺伝的に糖尿病になりやすく、糖尿病は関心の高いテーマなのです。ただ、例えばフィリピンはメリエンダ(間食)があって1日5~6食とる、台湾は大皿料理文化で一人ひとりの食事の量がわかりにくいというように、国によって食事・ライフスタイルの違いがあります。そうした違いも踏まえて糖尿病の予防・改善に取り組めるように、日本とアジアの国による国際共同研究も行われています。
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