講義No.12238 経営学・商学

技術と人を活かして、生活を豊かにするための経営学

技術と人を活かして、生活を豊かにするための経営学

ビジネスモデルとICT

検索エンジンや地図アプリ、SNSなど、今日ではICT(情報通信技術)を用いたさまざまなサービスが展開されています。それらサービスは企業によって運営され、売上げを増やす仕組みにも違いがあります。こうしたサービス以外にも、商品や原材料の発注・受注、顧客に届けるまでの物流の最適化など、ICTは製造業や小売業などあらゆる業界のモノや情報の流れを効率化し、ビジネスモデルを変えていく役割を果たしています。人々の生活をもっと豊かに便利にするために、新しいサービスは絶え間なく生み出されていますが、そこにあるビジネスモデルもまた、どんどん進化しているのです。

人間のアイディア・能力の活用

ICTの活用と同様に、経営が上手くいっている企業では、社員のアイディアや能力を最大限に活用する仕組みづくりにも力を入れています。いかに新しいモノや技術を作り出すか、そしてそれらをいかに顧客が欲しくなるような形で提供するか。これらは企業にとって重要な経営課題で、そのためのビジネスモデルの工夫や仕事の仕方の工夫があります。成長を続けられる企業には、人の能力を活用する仕組みも備わっているといえます。

組織と組織での行動を考える学問

このように、ICTなどの技術や人の能力を活用しながら、企業がいかに組織としての力を高め、組織のパフォーマンス(売上高や利益など)を向上させているのかを明らかにすることは、経営学の重要な研究テーマの一つです。実際の企業事例を調査・分析する「定性的研究」という手法では、経営陣をはじめ、さまざまなレベルで意思決定や研究開発に携わる人たちにヒアリングを行いながら、その企業のビジネスモデルや強みを構成している要素を明らかにしていきます。現代社会では、すべての人が何らかの組織と関わりながら生きています。組織と組織での行動を分析し、より良くするための方法を考える。そのための理論を提供してくれる経営学は、誰にとっても役立つ学問のひとつであるといえるでしょう。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

一橋大学 商学部  教授 西野 和美 先生

一橋大学 商学部 教授 西野 和美 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

経営学、商学、経営戦略論、技術経営論

先生が目指すSDGs

メッセージ

経営学は、組織行動について研究する学問です。企業だけでなく家族や学校、部活、アルバイト先など、私たちが所属するあらゆる組織が研究の対象になります。例えば大学で部活やサークルをまとめる立場になれば経営学がすごく役立ちますし、それ以外の人にも、組織の一員としての自分を考える上で多くの気付きが得られるでしょう。昨今はコロナ禍によって大学生もアルバイトやサークルを経験する人が減っていますが、できる範囲で色々な組織に入ってみて、そこでしか得られない経験を積んでほしいと思います。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

一橋大学に関心を持ったあなたは

一橋大学の大きな特色として、まず第1に挙げられるのは、我が国で最も伝統のある社会科学の総合大学として、常に学界をリードしてきたという長い歴史と実績、並びにこの伝統を受け継ぎ、人文科学を含む広い分野で、新しい問題領域の開拓と解明を推進する豊富な教授陣に恵まれていることです。第2は、商学部・経済学部・法学部・社会学部の垣根が低く、学生は各学部の開設科目を自由に履修することができます。また、10人から15人程度の少人数で行われているゼミナール制度(必修)を核とする少数精鋭教育も本学の特色のひとつです。