対立からよりよいものを生み出す「コンフリクト・マネジメント」とは
組織内での対立を解決するために
経営学の中でも、組織内における人間の行動や心理に関して研究しているのが「組織行動論」です。ある目的のために組織が作られて、そこに属する人々が行動する際、「どういった問題が起こりうるのか」「どうすればよりよい結果が得られるのか」などを考える研究分野です。その中でも、組織内での人々の対立に効果的に対処するための方法を調査・分析しているのが「コンフリクト・マネジメント」と呼ばれている研究分野です。
対立の種類を分けて考える
例えば、高校の文化祭にクラスで出し物を企画することになったとき、お化け屋敷にするか、それとも仮装喫茶店にするかなど、意見を出し合った方が、アイデアの改善にもつながり、よい結果をもたらします。新しくてよりよいものを生み出すには、ある程度の意見の対立(タスク・コンフリクト)があった方がいいのです。
ところが、意見を言い合う際につい感情的になったり、相手の人格や能力まで批判してしまったりすると、人間関係の対立(リレーションシップ・コンフリクト)が生じ、クラスにとってマイナスの結果になります。また、自分の人格や能力を感情的に批判されることを恐れ、企画に関して言うべき意見を誰も言わない雰囲気は、表面的には穏やかに見えるものの、言いたいことも言えないという意味で非常に問題ある状況だと言えます。
リーダーシップを発揮して信頼関係の下地づくりを
リレーションシップ・コンフリクトを生じさせず、健全なタスク・コンフリクトを生みだすためには、企画に関する意見の対立が相手の人格への攻撃ではないと互いに信じあえるような、信頼関係の下地を作ることが必要です。
また、学校であれば担任の先生やクラスでリーダーとなる生徒、企業であれば社長や上司の行動は、周りの人の規範や手本となります。したがって、まずリーダーシップを担う人が、言葉と行動が一致する形で組織のあるべき姿を示すことが、コンフリクト・マネジメントでは欠かせない要素になると考えられます。
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先生情報 / 大学情報
武蔵野大学 経営学部 経営学科 准教授 宍戸 拓人 先生
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経営組織論、組織行動論、組織心理学先生が目指すSDGs
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