講義No.08532 経営学・商学

対立からよりよいものを生み出す「コンフリクト・マネジメント」とは

対立からよりよいものを生み出す「コンフリクト・マネジメント」とは

組織内での対立を解決するために

経営学の中でも、組織内における人間の行動や心理に関して研究しているのが「組織行動論」です。ある目的のために組織が作られて、そこに属する人々が行動する際、「どういった問題が起こりうるのか」「どうすればよりよい結果が得られるのか」などを考える研究分野です。その中でも、組織内での人々の対立に効果的に対処するための方法を調査・分析しているのが「コンフリクト・マネジメント」と呼ばれている研究分野です。

対立の種類を分けて考える

例えば、高校の文化祭にクラスで出し物を企画することになったとき、お化け屋敷にするか、それとも仮装喫茶店にするかなど、意見を出し合った方が、アイデアの改善にもつながり、よい結果をもたらします。新しくてよりよいものを生み出すには、ある程度の意見の対立(タスク・コンフリクト)があった方がいいのです。
ところが、意見を言い合う際につい感情的になったり、相手の人格や能力まで批判してしまったりすると、人間関係の対立(リレーションシップ・コンフリクト)が生じ、クラスにとってマイナスの結果になります。また、自分の人格や能力を感情的に批判されることを恐れ、企画に関して言うべき意見を誰も言わない雰囲気は、表面的には穏やかに見えるものの、言いたいことも言えないという意味で非常に問題ある状況だと言えます。

リーダーシップを発揮して信頼関係の下地づくりを

リレーションシップ・コンフリクトを生じさせず、健全なタスク・コンフリクトを生みだすためには、企画に関する意見の対立が相手の人格への攻撃ではないと互いに信じあえるような、信頼関係の下地を作ることが必要です。
また、学校であれば担任の先生やクラスでリーダーとなる生徒、企業であれば社長や上司の行動は、周りの人の規範や手本となります。したがって、まずリーダーシップを担う人が、言葉と行動が一致する形で組織のあるべき姿を示すことが、コンフリクト・マネジメントでは欠かせない要素になると考えられます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

武蔵野大学 経営学部 経営学科 准教授 宍戸 拓人 先生

武蔵野大学 経営学部 経営学科 准教授 宍戸 拓人 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

経営組織論、組織行動論、組織心理学

先生が目指すSDGs

メッセージ

大学受験のための勉強や就職活動には、効率のよさが求められます。しかし、そのせいで「〇〇だけやっていれば大丈夫ですよね」「では何をすればよいのですか?」といったマインドの持ち方が、副作用のようにして身についてしまうことがあります。
誰かにアドバイスを求めることは大切ですが、自分で考え、判断し、その結果に責任を持つということが何より重要です。変化の多い不確実な世界にあっては、そうした姿勢がより求められていくということを意識しながら、学生生活を送ってもらえればと思います。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

武蔵野大学に関心を持ったあなたは

2024年に100周年を迎えた武蔵野大学は、同年4月、ウェルビーイング学部ウェルビーイング学科を新設しました。2023年4月には、社会と環境をデザインし実現する、文理融合型の「サステナビリティ学科」を開設し、近年では、起業家精神を育成する「アントレプレナーシップ学科」や私立大学初の「データサイエンス学科」を新設。常に時代の変化を先取りし、13学部21学科の文・理・医療・情報系の総合大学へと発展・拡大を続けています。