講義No.07926 理工系その他 医療技術

眼からわかる心や病気のサイン 医工学入門

眼からわかる心や病気のサイン 医工学入門

めまいを起こした人の「眼」を見ると……

「眼」はものを見るだけではなく、ダイレクトにつながった脳や神経、心の状態を知る手掛かりにもなります。例えば、眼の観察は、難しいとされているめまいの原因を探る糸口にもなります。めまいを起こすと、眼球は異常な振動をします。脳や耳など原因の部位や重症度により揺れ方や緩急が異なるため、めまいの専門医はまず眼から診察を始めるのです。また、発達障がいや自閉症の診断にも、視線を合わせられるかどうかなど、眼から得られる情報が用いられています。

瞳孔は自律神経とリンクしている

また黒目の中には瞳孔という小さな穴があり、眩しい時は閉まり、暗い時は開くことで光量の調節をしています。この開閉は自律神経の働きにもリンクしていて、交感神経が活性化していると開き、副交感神経が活性していると閉まります。一般的に激しい活動や興奮状態をつかさどるのが交感神経、眠い状態やリラックスをつかさどるのが副交感神経と言われています。これら自律神経のバランスが崩れると、例えば「寝なければいけないのに興奮してしまう」といった不調が現れ、やがて体調不良につながります。瞳孔の開閉から自律神経の状態を探れば、健康管理や病気の診断に役立つわけです。

スマホのアプリで眼の状態をチェック?

近年、若年層や女性を中心にめまいや自律神経の不調を訴える人が増えており、その遠因はストレスにあると考えられています。小さな瞳孔の動きは肉眼では確認しにくいため、赤外光を使ったスコープのような機器が必要になります。しかし、もし画像解析技術が進んで簡易的な装置ができれば、各自で手軽に眼球のチェックができるようになります。
「未病」という言葉に象徴されるように健康を自己管理しようという動きは盛んで、各メーカーがヘルスケア部門に力を注いでいます。スマートフォンのアプリケーションで心拍からストレスを診断するように、瞳孔からストレスがチェックできるようになるかもしれません。

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先生情報 / 大学情報

新潟大学 工学部 工学科 人間支援感性科学プログラム 教授 飯島 淳彦 先生

新潟大学 工学部 工学科 人間支援感性科学プログラム 教授 飯島 淳彦 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

生体医工学、神経生理学

メッセージ

人工心臓や手術ロボットの開発などにより、医学と工学を融合した「医工学」が注目を集めています。知覚・脳神経系分野でもそうした研究は盛んで、未知の病気や人体のメカニズムを解き明かそうという試みが行われています。
また、もし簡易的な機器により自ら体の異常を発見できれば、病気の早期治療に役立つことでしょう。そこに貢献できるという意味でも、医工学は魅力的な分野だと言えます。

先生への質問

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新潟大学は教育面を最も重視し、学生が自らの専門を深く極めるばかりでなく、広い視野をもち、物事を総合的に判断する力を身につけること、及び実践と体験を通したきめ細かい教育を行うことによって、学生一人一人の個性を伸ばすことを目指しています。さらに、教養教育と専門教育を融合させた教育プログラムを提供し、特定の課題・分野の学習成果を認証したり、異なる学部の学生と教職員で構成されるグループが地域住民とのふれあいを通じて人間的成長を目指すなど、本学の理念である「自立と創生」に基づく学生育成を実践しています。