地図アプリで位置がずれるのはなぜ? スマホのセンサ研究

地図アプリで位置がずれるのはなぜ? スマホのセンサ研究

位置情報はなぜずれる?

スマートフォンのGPSセンサを用いると現在地を取得できます。地図アプリを使って、同じ場所で複数の人が自分の位置を確認すると、それぞれの現在地の表示がずれることがあります。これは、機種ごとに搭載されているセンサの種類や精度が違うためで、現在地である正解データとGPSセンサから得られるデータのずれは「ノイズ」と呼ばれています。

「たしからしさ」を判断する基準

位置情報のノイズを判断するときの指標となるのが、情報の「たしからしさ」を表すさまざまな値です。アプリ上に表示される位置情報だけを見るのではなく、ほかの情報と組み合わせて「たしからしさ」を判断します。
例えば、GPS測位精度の劣化の程度を表すDOP値です。DOP値が小さいほど位置精度が高くなります。スマホは、現在地を取得するときに衛星からの情報を利用します。上空に多くの衛星が配置されているほど正確な位置情報を取得できるが、衛星は常に地球の周りを動いているため、同じ場所で計測しても位置精度が異なります。衛星の配置は地上から見えませんが、センサで取得されるDOP値を活用することでノイズを把握でき、位置情報の補正に役立ちます。

信頼性の高い位置情報の取得

サイバー空間(仮想空間)と現実空間が融合しデジタル化がより進んだ「Society 5.0」と呼ばれる情報を積極的に活用する社会では、スマホのセンサから収集されるデータの重要性がより高まると考えられます。従来は手動で収集されていた情報を自動で集めることができるからです。ただしスマホは人によって持っている機種が異なるので、研究によって各センサの特性やノイズの特徴を明らかにしておくことも求められます。ノイズを検証するために、セグウェイの荷台に10種類ほどのスマホを乗せて、日時や場所を変えて100回分のデータを収集する実験が行われました。その結果、DOP値などの指標が一定の値以上になったデータを取り除くと、どのセンサからも信頼性の高い位置情報を得られることがわかっています。

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大阪経済大学 情報社会学部 情報社会学科 准教授 井上 晴可 先生

大阪経済大学 情報社会学部 情報社会学科 准教授 井上 晴可 先生

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失敗を恐れず何事にも全力で取り組みましょう。人生はうまくいくことばかりではありませんが、悔しさなどを乗り越えた先には明るい未来が待っているはずです。未来の成功によって、「あのときがあったから今がある」と考えることができれば、過去の経験は失敗ではなくなるでしょう。
なぜなら、私がそうだったからです。将来後悔しないよう、やりたいこと、やるべきこと、新しいことにどんどん挑戦して今この瞬間を楽しんでほしいです。勉強はもちろん、友達と思いっきり遊ぶなど、出会いや人との繋がりも大切にしてください。

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