「建築計画」 住まいや施設をより心地よい空間に
「建築計画」という学問
建築学の分野の1つに「建築計画」があります。新しい建物を建てる際、どのような人たちが使い、どう運営されるのか、また、機能を満たすにはどれくらいの面積を要するのかなど、デザインの前提条件が必要です。例えば、図書館は本を適切に所蔵する場所であるとともに、本を閲覧したり借りたりする人が訪れる場所ですが、図書館の規模や立地によって、利用者も、図書館の役割も異なります。昨今の図書館は、地域の居場所的な役割も求められています。こうした時代によって変化する建築の機能を、既存の建築空間の使い方や運営のされ方の調査を通して、新たな建築のプレ・デザインを担うことが建築計画のミッションです。
住宅や地域のあり方も
建築計画は、図書館や学校、病院などの施設計画だけではなく、住宅や住宅地の計画においても重要です。例えば、日本では単身高齢者世帯が急速に増えていますが、地域コミュニティとの接点がなく、孤立や孤独死など社会課題となっています。これらの課題に建築計画の視点からアプローチし、誰もが安心・安全を確保しながら快適に住み続けられる住まいや地域コミュニティのあり方を考える必要があります。ドイツでは、非血縁の多世代が共生する地域づくりの例があり、地域で高齢者の暮らしを支える政策が進行しています。こうした先行事例を調査・分析し、日本の実情に合った住環境の計画を考えることも建築計画のテーマの一つです。
時代の要請に応える
人間の暮らし方・働き方は、時代によって変化してきました。2020年以降、新型コロナウイルス感染症による影響があります。戦後、サラリーマンが増加したことで、住まいは、職場で頑張って疲れた心身を休めたり、家族団欒をしたりする場所として計画されてきました。しかし、コロナをきっかけに自宅で仕事をしたり、授業を受けたりすることが広がり、この新たなニーズに応じた住まいの研究も必要です。さらに、増加する空き家の活用や過疎化した地域の再生についても、建築計画分野の重要なテーマです。
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先生情報 / 大学情報
佐賀大学 理工学部 理工学科 都市工学部門 准教授 宮原 真美子 先生
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