空き家問題をどう解決する? 社会課題解決のための建築
空き家になった木造アパート
東京では1960年代後半に木造のアパートが数多く建てられました。こうした木造賃貸物件は次第に老朽化して空き家になり、社会課題の一つとなっています。居住者がいない状態が長く続けば、地域社会が空洞化する要因になりかねません。対策のために建築家が物件を改修して再び人が住めるようにする取り組みも見られますが、空き家の数が多すぎて手が足りていないのが課題です。もし地域の不動産会社や、物件の大家さんでも改修ができるようになれば、空き家の再生は進むはずです。
改修の担い手を増やす
空き家改修の担い手を増やすために、「モクチンレシピ」というサイトが作られました。木造アパートを改修するためのアイデアをオープンソースで公開しています。専門家でなくても実践できる内容も多く、大家さんや不動産会社がアパートを改修しやすくなりました。実際に埼玉県戸田市では、不動産会社と建築家がモクチンレシピを通じて協力し、100以上の空室を改修しています。価値がないと思われていた古いアパートが再生されたことで新しい入居者が集まり、地域に元気が戻ってきました。このように建築の専門家だけでなく、地域全体で空き家問題を解決するための仕組みづくりが続いています。
まちづくりのための建築
新たにアパートを作るときも、地域とのつながりが重視されています。通常のアパートでは、物件にどのような人が住んでいるかがわかりません。こうしたアパートが増えると地域全体の匿名性が高まり、活性化が難しくなります。そこで建築家と不動産会社が協力して、職住一体型の木造アパートを作りました。1階部分は入居者が好きなものや自身の作品などを販売できるアトリエで、2階は居住スペースです。入居者と地域住民の交流を自然に生み出すことと、地域の新たな魅力づくりに貢献することをめざしています。このように、建築物を通してまちづくりに貢献する方法の研究や、社会課題を解決するための実践が続いています。
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