脳波の自動判読システムが、原因不明の病から患者を救う

脳波の自動判読システムが、原因不明の病から患者を救う

脳波検査は異常を発見する重要な検査

強く頭を打ってしまった場合、特に自覚症状がなくても、病院で検査をしてもらう人が多いのではないでしょうか。その場合、病院ではCTなどの検査を行うこともあれば、脳波検査を行うこともあります。脳波検査とは、頭に電極を取り付け、ベッドに横たわって安静にし、脳波の動きを観察することで異常がないかを確認する検査のことです。実は、CTなどほかの検査ではわからない異常も、脳波検査をすれば見つけられることがあります。それほど重要な検査ですが、脳波を判読できる専門医が少なく、検査結果を専門医に送って見てもらわなければならないため、タイムリーに診断を下せないといったことが起こっているのが現状です。

脳波検査でしかわからないことがある

例えば、突然意識不明になってICUに運ばれてきた患者がいるとします。意識が回復しない原因はいくつか考えられますが、脳波検査をして、この意識障害の原因が実は「てんかん」だとわかった事例があります。適切に脳波検査が行われ、その場で素早く正確に読み取ることが可能になれば、早期治療を施せるケースが多々あるというわけです。

自動判読システムが医療の質を向上させる

そこで、脳波検査の結果を、専門医と同じレベルで判読できるシステムが作られています。もちろんシステムが導き出す答えなので、最後は人間による判断が必要になります。しかしその結果があることで、どの病院でも脳波検査は今より手軽にできるうえ、一つの症例に対してある程度同じ結果が導きだされることが期待できます。ICUで原因不明で亡くなられる方も救えるかもしれません。認知症と誤診される人も減らすことができるでしょう。課題は結果の精度であり、現場の声を反映してこのシステムの精度を上げていくことは、医療の質向上に貢献につながるのです。

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佐賀大学 理工学部 理工学科 電気電子工学部門 教授 杉 剛直 先生

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メッセージ

大学生として過ごす時間は人生全体で見ると一瞬です。さらに、進学した大学によってその後の人生が変わるかというと、別の大学に進学しても最終的には同じ企業に勤めているなんてこともあります。つまり、大学は通過点であり、ゴールではありません。私自身は、大学の研究室で勉強を始めて、今になってやっと取り組んでいる学問のおもしろさに気づきました。どこの大学に入るかよりも、どういう風に生きて、何を学び将来働いていきたいかを考えて大学受験に臨めば、きっととても有意義に過ごせるはずです。

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