光技術を使って「健康を守る」、「食の安心と安全を守る」
より簡単に、早く分析する
現在進めているのは、人の体や生薬(しょうやく)を分析しながら、より簡単な生物試料の評価方法を開発する研究です。例えば、以前は体脂肪を測るには大掛かりな検査が必要でしたが、今では体脂肪計に乗ればすぐに数値が出ます。それと同じように内臓や骨などの状態が簡単な検査で素早くわかれば、生活習慣病や日本人に多い腎臓病、骨粗しょう症などの治療や予防がもっと早く、的確にできるようになります。今取り組んでいるのが光を使った分析法、特に腎臓と骨についての評価方法の研究です。
光技術を使って健康を守る~骨で腎臓を診る~
骨はカルシウムの貯蔵庫というのはよく知られていますが、実は腎臓が体内のカルシウムバランスの維持に大きく関わっており、腎機能が低下すると骨の劣化が起こりやすくなります。その性質を利用して、骨を解析することで、腎臓の病態を知り予防や治療に役立てることができるのではないかと考えました。骨は常に代謝して生まれ変わっているため、体の状態を常に反映しています。通常、組織検査は体内から組織片を摘出して行いますが、光技術を駆使すれば、組織を取り出すことなく生体組織をそのまま分析することができます。患者の負担も軽く、検査ができるのがメリットです。また細かな経過を観察することも可能なので、リアルタイムでデータを治療に生かせます。
生薬の分析にも光技術が役立つ
もう一つの重要な研究テーマが光技術を使った生薬の分析方法の確立です。漢方薬の原材料である生薬は、そのほとんどがアジア、特に中国で生産され、日本で消費する生薬の多くは輸入に頼っているのが現状です。今、生薬を含め私たちの食の安心と安全を守るために、その品質や安全性を効率良く、短期間で正確に、簡単に、そしてローコストでチェックできる分析方法が求められています。医療分野における分析は、精密で高度なだけでは実用的ではありません。研究の最先端技術をいかに現場で誰もが使えるよう標準化することも大切なテーマなのです。
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