「早くまたプレーしたい」という熱い思いに応えるトレーニング学
ケガをしたアスリートの復帰をサポート
ケガ・障害を負ったときには、医療による治療が必要です。ただ、一般的な医療は「日常生活」への復帰を目的としており、スポーツへの復帰までカバーされているとは言い難いのが現状です。そこで近年注目を集めるのが、安全かつ早期のスポーツへの復帰、ケガの予防・再発防止を目的とした「アスレティックトレーニング」です。アスレティックトレーナーが、医学的・科学的エビデンスに基づき、筋力・持久力・敏捷性・関節可動域などに関わるトレーニングを実施します。
アスレティックトレーナーは現在、プロやアマの練習・試合、整形外科関連の医療機関、スポーツジムといった場で活躍しています。
新しいトレーニング法の有効性の検証
アスレティックトレーニングの研究の一つに、スポーツによるケガ・障害を負った人のために考案されたトレーニング方法の有効性を確かめることがあります。例えば、足首の捻挫を繰り返し起こす「捻挫癖」のある人に対する「ショートフットエクササイズ」という運動の有効性を調べた研究があります。ショートフットエクササイズとは、足指を曲げずに土踏まずを上げながら、足の裏に力を入れる運動です。1日10分程度、週3回ほどの頻度で継続することで、足の裏の筋肉(足部内在筋)が鍛えられ、捻挫再発を予防する効果が期待されています。
こうしたトレーニング方法を、身体の部位に、また全身的に検証し、必要に応じて改良を図ります。
スポーツを続けられる喜び
アスレティックトレーナーは、医療機関での治療につなぐためのケガの評価・応急処置も行います。今後の研究では、医療への橋渡し役として、また安全かつ早期に復帰するためのサポート役として、幅広いケガ・障害に対するより有効な処置・トレーニング方法を見つけていかなければなりません。
アスリートを含むスポーツ愛好家にとって、「また思い切りスポーツを楽しめる」ことは、人生をより豊かにすることであり、アスレティックトレーナーの役割は重要なのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
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先生情報 / 大学情報
中京大学 スポーツ科学部 トレーナー学科 教授 篠原 純司 先生
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先生への質問
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