オペラ舞台の成功の鍵はスケジューリングにあり
オペラの総責任者、音楽監督
音楽監督は、クラシック音楽など舞台音楽芸術の制作や演出に携わる総責任者です。オペラの舞台の場合、オーケストラ、ソリスト、合唱という音楽的な要素を統制し、めざす音楽に高めていきます。舞台をつくり上げるために最も重要なのはスケジューリングです。舞台当日に成功を収めるには、綿密なスケジュール管理が欠かせないのです。
音楽監督のスタートは1年半前から
演目は、公演当日から1年半以上前に決まることがほとんどです。音楽監督はその頃から楽譜を手元に置いてめざす音楽をイメージします。音楽監督が使うのは、楽器やソリストの各パートの楽譜がまとめて書かれている総譜です。オペラの1演目の総譜は400~500ページにも及び、すべてに目を通して自分の音楽表現のために書き込みをしていきます。同時に、ストーリーや音楽性に合った出演者を選び、オファーをかけます。しかし、一旦出演を了承してもらえても、公演を行うホールが希望日の通りに契約できるとは限りません。場合によっては声を掛けていた出演者の予定が合わず、もう一度キャスティングし直さなければならない場合もあります。
練習日に主役が来ない?
出演者が揃ったら、練習のスケジューリングを行います。本番から遡って、何日前にはどれくらい仕上がっていなければならないかを考えて組み立てていきます。ただし、主役級の出演者ほど忙しく活動をしているため、なかなか練習日は揃いません。重要な登場人物の2人が、本番1週間前まで会えないようなスケジュールになることも少なくないのです。その場合は、その日までにそれぞれの音楽を完全に仕上げておき、合わせた時にはほぼ出来上がっているように練習をしていきます。確実なスケジュールを準備することは、舞台の成功を大きく左右します。土台から部材を組み上げることで、しっかりとした家が出来上がるように、練習を一つひとつ積み上げて、オペラの舞台はつくり上げられていくのです。
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先生情報 / 大学情報
フェリス女学院大学 音楽学部 音楽芸術学科 教授 星野 聡 先生
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