鍼治療の効果を探る研究

鍼治療の効果を探る研究

片頭痛の治療にも使われる鍼

からだの調子が悪いと感じると、病院に行く前に鍼灸治療を試す人がいます。その一方で、それらが本当に効果があるのか疑問に感じている人も多くいます。そこで、謎に包まれた鍼の効果を解明しようと研究が行われています。鍼治療にはこれまでの科学で理解できる部分と、そうでない部分があります。例えば片頭痛に対する鍼通電の効果は、科学的にも説明が可能です。脳神経を介して頭痛と関連した脳の機能を整えていると考えることができるのです。

からだ全体にはたらく未知の作用

従来の科学や医学で説明しきれないのは、特にからだ全体への作用です。鍼治療では患者のからだに触れたり、鍼をうったりと微弱な刺激を与えています。ときには鍼をうたれたことに気づかないほどの弱い刺激です。その結果、良く眠れるようになったり、全身のだるさが解消されたり、便秘が治ったりすることは多く経験されますが、なぜからだ全体に効果が出るのかというメカニズムには、まだ不明な点が多いのです。

鍼治療は健康を創りだす治療

従来の科学や医学では、からだの中の悪い部分を見つけてそれを取り除くことを行ってきました。一方で微弱な刺激による鍼治療では、からだのバランスを整え、健康な状態を創り出すことが重要となります。
鍼のように、これまで科学では充分に解明できない効果を探るためには、からだ全体をとらえることができる新しい人間観に基づいた研究が必要です。従来の科学では神経や血管など、特定の器官に注目した研究が主流です。しかし鍼治療は、それぞれの器官がどう関係し合っているのかに注目することによって、その機序が理解されることでしょう。手技療法も同様です。鍼治療や手技療法の研究が進むことで、悪い部分を取り除く治療だけでなく、人と人の触れ合いの中から健康を創り出していく新たな医療が広まることが期待されます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

筑波技術大学 保健科学部 保健学科 鍼灸学専攻 教授 鮎澤 聡 先生

筑波技術大学 保健科学部 保健学科 鍼灸学専攻 教授 鮎澤 聡 先生

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医学、鍼灸学、健康科学

先生が目指すSDGs

メッセージ

人間が生きることの最終目標は、人間観の確立、世界観の確立、そして生命観の確立です。どんな職業でも人間にアプローチすることは一緒です。その中で、直接人間にアプローチするのが医療や鍼灸治療・手技療法の魅力です。鍼灸治療や手技療法では、通常の先端科学では扱えない人間のしくみに迫り、直接触れ合うことが本質となる治療です。高齢化が進む今、これらの治療は健康維持のためにより必要とされる領域です。鍼灸・手技療法はたとえ視覚に障害があっても治療に携わることができるので、興味があればぜひ一緒に勉強してみませんか。

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