DHAが体に良いことを確かめるために、目印を付ける方法とは?

DHAが体に良いことを確かめるために、目印を付ける方法とは?

脳機能も改善できるDHAなどの脂肪酸

魚の体内に豊富に含まれる、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)という物質があります。両方とも油脂の一種である多価不飽和脂肪酸に分類され、人体の中では作り出すことができない必須の栄養素です。DHAは、脳内に多く存在する脂肪酸で、脳の発達に大きな役割を果たしています。EPAには、血液をサラサラにする効果があり、動脈硬化や脳梗塞を予防する働きがあることがわかっています。また、近年の研究では、DHAが脳機能の改善に役立つことも具体的にわかってきており、世界的に注目を集めています。

どうやったら効率的に使えるか?

現在では、DHAやEPAをどういう形で摂取すれば体内でより効率的に利用できるか、ということが大きな研究テーマです。ほかの物質との組み合わせも重要で、どういう食べ物と一緒に摂取すると吸収されやすいか、脳など特定の場所に届きやすいか、という研究が続けられています。こうした研究が、将来的には脳機能改善の効果がある食品や薬剤の開発に役立つことになります。

目印を付けたDHAで代謝を調べる

人間の体内に存在するDHAの量はある程度一定に保たれており、増え続けることはありません。新たに摂取したDHAが、体内に元々存在したDHAと置き換わり、代謝されています。摂取したDHAの吸収性や蓄積性を評価するためには、元々存在していたDHAと区別する必要があります。そのためDHAに目印を付け、摂取したDHAが体内でどのように吸収され、代謝されているのかを追跡する研究も進んでいます。それには、DHAを構成する水素の一部を重水素に替えるという操作が行われます。通常、水素の原子核は陽子1個でできていますが、重水素の原子核は陽子1個と中性子1個でできています。同じ元素でもこのように構成の異なる物質を同位体と呼びますが、同位体を使ったDHAも、その特性は変わりません。同位体を目印とすることで、DHAの体内での動向や分布を正確にとらえることができるのです。

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東京海洋大学 海洋生命科学部 食品生産科学科 助教 田中 誠也 先生

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