スポーツ飲料もさまざま~「栄養学」の視点~
スポーツドリンクはどう飲み分ける?
スポーツ飲料を飲むときに成分の違いまで気にしたことはありますか? 「栄養学」の視点では、例えば「ポカリスエットは飲む点滴、アクエリアスはスポーツドリンク」と言えます。ポカリスエットには砂糖が多く、アクエリアスには果糖と分岐鎖アミノ酸(BCAA)が含まれているからです。
砂糖は摂取されるとすぐにグルコースとなり、エネルギーになるので、即効性が必要なラストスパートや風邪のときなどの栄養補給に飲むと効果を発揮します。しかし、グルコースは脂肪燃焼を妨げる働きもあるので、ダイエット目的で走ったあとに飲むのには向いていません。一方、果糖は脂肪燃焼を止めず、BCAAは疲労を抑制したり、運動で消耗したタンパク質の合成を促進したりします。栄養学はこのように、目の前にある食品を栄養素としてとらえ、それぞれが体内でどのように使われるか、何を食べれば健康でいられるかを研究する学問です。
恒常性の破綻を乗り越える
脂肪は太ると思われていますが、実際、動物で実験してみると、2週間くらいでは、脂肪含有率1%の食餌でも25%の食餌でも体重や血中脂肪はほとんど変わりません。我々、生き物には「恒常性」という生命を保つ巧妙な仕組みが備わっており、体内でバランスを崩さないように調整するからです。「肥満」とは、その恒常性が壊れたということであり、身体にとっては大変なことなのです。したがって、健康に痩せるためには、何を食べるかについて「摂取する」ことから「栄養になる」までのプロセスを正しく理解し、判断していく必要があります。
取り組むべき課題は増えている
栄養学研究では、今までのさまざまな研究成果を土台として、実験テーマに対して予想を立て、実験をし、結果の考察を繰り返します。ゲノム情報、ビックデータ、AIの活用により、生命科学、バイオの研究は日々進んでいます。長い目でみれば、いろいろな病気は克服されていくでしょう。その一方で、取り組むべき課題はますます増えてきているのです。
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帝塚山学院大学 食環境学部 管理栄養学科 教授 楠堂 達也 先生
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