日本食に欠かせない大豆は体内の脂肪を燃やす!
肥満はさまざまな病気を引き起こす
脂肪の摂り過ぎや太り過ぎは、健康によくないと言われますが、その理由はなんでしょう? 理由はいろいろありますが、最近、太り過ぎるとそれが原因となって、体内で軽い炎症が起きることがわかってきました。炎症とは、外から入り込んだ菌などを殺すために分泌される「サイトカイン」という物質により、自身の細胞も傷つけられて起こる現象です。太った人の体内では、貯め込まれた脂肪が血中に脂肪酸となって流れ出す際、菌のようなものと認識され、そのために炎症が起こると考えられています。このような炎症が続くと、自分自身の細胞が傷つき、さまざまな病気が起こるのです。
脂肪燃焼を促進するイソフラボン
そこで血中に流れ出す余計な脂肪酸を減らすことが重要です。こうした脂肪の燃焼に一役買うのが、大豆です。大豆は、日本が世界屈指の消費国ということもあり、ヘルシーな日本食を象徴する食材として世界から注目されています。この大豆に含まれるポリフェノールの一種、イソフラボンが脂肪の燃焼を促進する可能性があるのです。
人の骨格筋では、細胞内のミトコンドリアが、筋肉を収縮させるためのエネルギーを脂肪から作っているため、ミトコンドリアが多いほど脂肪を燃焼しやすくなります。実験で筋肉細胞にイソフラボンをかけると、ミトコンドリアが増えることがわかったのです。理由は、細胞内に「転写因子」と呼ばれる遺伝子発現を調整するタンパク質があり、これをイソフラボンが活性化させるためだと考えられます。
食習慣の研究が生活習慣病の予防や改善に役立つ
近年、がんや糖尿病など、生活習慣病の患者は増加しており、その治療や予防が大きな課題となっています。生活習慣病は、文字通り、日頃の生活習慣が原因となる病気なので、どのような習慣が、病気の発生や予防と関係しているかを調べることは、極めて重要です。その意味で、主要な生活習慣の一つである「食」と人の健康との因果関係を調べる研究は、生活習慣病の予防や改善に役立つものとして関心が集まっています。
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先生情報 / 大学情報
お茶の水女子大学 生活科学部 食物栄養学科 教授 飯田 薫子 先生
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