果実の皮を、無駄なく賢く利用する!

果実の皮を、無駄なく賢く利用する!

注目される、果実の機能性成分

果実の皮(果皮)など、食べ物の普段捨てられてしまう部分を役立てようとする研究が盛んに行われています。以前から、家畜の飼料とするなどの利用法は考えられてきましたが、現在は、果皮に含まれる機能性成分を有効活用しようという研究が進んでいます。機能性成分とは、食べて栄養になる以外の、さまざまな用途に利用できる成分を指します。リンゴの果皮に含まれる保湿成分を抽出し、化粧品の材料にするなどの例は、すでに実用化されています。

捨てられる果実を有効活用

多くの果樹では、未成熟の青い実の段階で、台風などによって落ちてしまうほか、「摘果」といって、大きな実を付けさせるために間引かれるなど、さまざまな理由から収穫前に使えなくなる果実が生じます。それらの大多数は、これまでは単純に廃棄されてきました。しかし、食用としては商品にならないものでも、成分を抽出することで有効活用が可能となります。このような機能性成分を用いて、サプリメントや化粧品の素材として使ったりする試みが行われています。

未成熟の実の果皮に2倍以上のノビレチン

かんきつ類は、その果皮に、糖尿病などの生活習慣病を予防する効果のある「ノビレチン」を多く含んでいます。しかも研究の結果、「サワーオレンジ」という品種に関しては、成熟期の果皮と比べて、未成熟の果皮にはノビレチンを2倍以上含んでいることがわかったのです。
これまで果実の機能性成分に関する研究は、成熟した実を分析するものが主流でした。しかし、果実の発達段階の実をそれぞれ分析することで、さらに利用できる幅が広がれば、資源の無駄を減らし、環境への負荷を低減させることができます。また研究が進むことで、ある地域でのみ栽培されている品種に特殊な成分が含まれていることがわかれば、その土地の地域活性化にもつながることが期待できます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

山口大学 農学部 生物資源環境科学科 准教授 金 貞希 先生

山口大学 農学部 生物資源環境科学科 准教授 金 貞希 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

果樹園芸学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私が研究において大事だと思うのは、興味・関心を持つことももちろんですが、それに加えて、疑問を持つことです。疑問を持たないと、研究は先に進まないと思います。私が所属する生物資源環境科学科は、化学や生物など、あなたが高校までに習ってきたさまざまな教科の知識を存分に生かせる学科です。
研究室での実験・分析だけではなく、テーマによってはフィールドでの実験や調査などもあり、植物を育てながら、楽しく実践的に農学に取り組んでいます。ぜひ私たちと一緒に研究しましょう。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

山口大学に関心を持ったあなたは

山口大学は「発見し・はぐくみ・かたちにする 知の広場」を理念に、9学部からなる総合大学です。英語の苦手な人も得意になれる! 山口大学のTOEICを活用した英語教育はすっかり定着しました。また、学生だからこそ考えつくアイデアに、資金を提供するプログラムとして「おもしろプロジェクト」があります。これら山口大学の個性的な取り組みにぜひご注目ください。