落ち込んでいる友だちを立ち直らせる学問とは
「できない」を学習してしまう
あなたの周囲に、最近「やる気」がないように見える友だちはいませんか? テストや部活で思うように結果が出せなくて、勉強や練習の手を抜いたり、さぼったりしがちになってはいないでしょうか。それは、最初は一生懸命やっていたけれど、何度も失敗を繰り返した結果、「どうせ自分には無理だから」と、やってもできないことを学習してしまった「学習性無力感」の状態かもしれません。
「予測」と「統制」
この友だちは今後どうなるでしょう? それ以外のことについても無気力になってしまったら、いずれは退部や退学の可能性も考えられます。この「予測」から、友だちを助けたいあなたは、やる気を取り戻してもらいたいと考えます。そのために友だちに働きかけることを「統制」といいます。統制には、あの人ができたなら自分もできるかもしれないと思わせる「代理経験」や、これだけ頑張ったからできるよと声をかける「言語的説得」など、「やればできる」という自己効力感を高めてもらうためのいろいろな手段があります。ただし、確実な方法はありません。なにかを実践してみて、その結果を分析し、より効果的な方法にアレンジを加えながら最適な手段を見いだしていくのです。
経営学での「組織行動論」
このように、人のやる気を扱うモチベーション研究を含め、組織における人の行動を考える学問を「組織行動論」といいます。組織行動論は、組織のマネジメントに役立つ手法として経営学の中で用いられています。例えば、経営者が従業員の行動の理由を理解せずに予測と統制だけを行えば、頭ごなしに命令する状態になって、組織はうまくまとまりません。組織内の立場を超えて、個々の事情に理解があることが伝わったうえでの統制ならば、相手も気持ちを荒立てずに従うことができます。
組織行動論を学んだ先にあるのは、人にやさしい経営のあり方です。組織行動論は学ぶだけでなく、実践することが大切であり、それにより経営学を実用的な学問として実感できるはずです。
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先生情報 / 大学情報
大阪産業大学 経営学部 経営学科 准教授 土屋 佑介 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
経営学、組織行動論、人的資源管理論先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?