木材供給と森林維持のバランスを取るために、社会ができること
生活に欠かせない木材資源
木材は、家の建材、家具や雑貨、紙など、身の回りのさまざまな用途に用いられ、現代社会を支える資源の一つとして欠かせません。日本では植林された針葉樹が建築用材などに用いられることが中心ですが、インドネシアやマレーシア、タイなど、亜熱帯から熱帯に属する東南アジアでは、広葉樹のユーカリやアカシアなどの成長の早い樹木が植林され、コピー用紙など紙の原料としてよく利用されています。しかし、いくら育成が早いといっても、むやみに木を伐採すると、森林の減少を招いてしまいます。そのため、森林がどの程度成長しているのかを常に把握し、その成長分を上回らないように伐採量をコントロールしていくことが、木材の供給において大切なことなのです。
現地の人々との話し合いと協業
東南アジアの森林は、現地の人々の生活と密接な関わりを持っています。多くの人々は農業で生計を立てていますが、現金収入を得るために木を伐採して売ることもよくあります。また、耕作地を得るために、森林を焼き払う「焼畑(やきはた)」を行う場合もあります。こうした活動による森林の衰退を防ぐには、現地の人々との話し合いと協業が必要です。例えば、現地の人々が焼畑をして耕作地を広げなくても生計を立てていけるように、現在ある耕作地でより現代的な方法により食料を生産して日常の生活を支えます。同時に耕作地の周辺などに成長が早くかつ木材の質が良い樹種を植林し、短期間でより価格の高い木材を生産することで、元々ある森林を衰退させずに、木材から現金収入を得る方法などが考えられます。
世界各地で応用できるノウハウ
こうした社会的な側面からの森林の維持管理のノウハウは、東南アジアだけでなく、世界のほかの地域の森林に対しても応用できるものです。世界各地で、森林と人間社会が適切なバランスを保ちながら共存していける道を見いだすことは、今後ますます重要になっていくことでしょう。
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