環境保全のスタンダードは誰が作っている?
東京オリンピックのもう1つの目標
2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、環境保全を目標としています。メイン会場の建設に使用される材料を、環境に配慮した森林から調達された木材に、建設にともなって出る廃棄物を環境に優しいものに、また使用されるエネルギーも二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーにと、さまざまな環境対策が実施されます。このような環境保全は、大会の目標であるだけでなく、人類の未来の目標でもあります。オリンピックを契機に、環境保全の考え方を普及させようとしているのです。
ティッシュペーパーのFSCマークって何?
環境保全を推進するには、実施のためのガイドラインを決める必要があります。それを誰がどういう方法で行うのかが問題になります。しかし、国ごとに基準がばらばらでは、国際的な基準になりません。そこで国に所属しないNGO(非政府組織)のような第三者機関がガイドラインを決め、認証を行っています。
例えば、ティッシュペーパーにはFSCマークが付いたものがあります。FSC(森林管理協議会)とは森林破壊を防ぎ、責任ある森林管理を普及させることを目標とするNGOです。FSCに認証された製品は、FSCのガイドラインに従って原料を調達し、製造されていることを示しています。
環境認証は企業活動にも影響を与える
第三者機関による認証は信頼できるものでなければなりません。そのため透明性を確保して、複数の機関が認証するなど常に信頼性確保のための努力を行っています。それに対して国や業界団体の認証は、政策的配慮などが働いてしまう可能性があり、信頼性が劣ります。
こうした環境認証は、単に環境保全を推進するだけでなく、経済にも影響を与えます。例えば環境認証を規準とする国に対しては、認証されなければ製品を輸出することができません。反対に国や企業の定める環境規準が世界の標準となれば、有利に経済活動を行えるようになるのです。
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先生情報 / 大学情報
福岡工業大学 社会環境学部 社会環境学科 教授 渡邉 智明 先生
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