まるで謎解き!? 現代への源流となる17世紀ロンドン

まるで謎解き!? 現代への源流となる17世紀ロンドン

大火災が今のロンドンの原点

イギリスの首都ロンドンは、レンガや石造りの建物が並ぶおしゃれな街ですが、この風景は、1666年に起きたロンドン大火に起因します。当時は木造住宅が多く、道幅も狭い状態でした。炎は強風で一気に燃え広がりロンドンの5分の4が焼け、人口約10万人のうち被災者が8万人以上にのぼる大災害となりました。
復興の際、当時の中央政府は木造建築を禁止して火事に強いレンガか石造りの建物を推奨し、広い道路をつくりました。その結果、家賃が高額となり、多くの被災者はロンドンにとどまることができませんでした。政府から被災者に特別な支援はなく、教会や民間団体が支援したものの、被災者が多すぎて追いつかなかったものと考えられます。

現代とつながる17世紀のロンドン

大火が起きた17世紀後半のロンドンは、西欧世界最大の都市でした。産業革命の約100年前ですが、すでに激動の時代であり、ビジネスチャンスがある一方で、大気汚染や貧富の差といった、現代に通じる課題もありました。税金で貧しい人を支援するなどの、現在の生活保護のような仕組みがつくられたのもこの時代です。
また、大火とは直接関わりませんが、17世紀に北米へ移住したイギリス人を中心として18世紀に独立宣言がなされ、アメリカ13州が独立しました。現代の原点が、17世紀のロンドンにあると見ることもできます。

いまだ解明されない庶民の歴史

当時のロンドンは、今のような国や政府による支援制度は十分に普及しておらず、地域の自治体や教会、商人や職人などの民間団体が貧しい人たちを支え、サポートし合う社会でした。また庶民の識字率は低く、研究史料となる文書は政府や貴族、商人などによるものがほとんどです。庶民の暮らしや社会の仕組みを知るには、地域の裁判記録など、残された文書からミステリーの謎を解く感覚で当時の様子を探ることになります。このように過去を読み解くことで、「現代の当たり前」から解放され、広い視野や選択肢を得ることができるのです。

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東海大学 文学部 歴史学科 西洋史専攻 准教授 菅原 未宇 先生

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メッセージ

歴史学は、空間と時間を超える旅をするようなもので、現代とはまったく違う世界を訪れることができます。教員をツアーコンダクターとして、興味のある世界を自由に行き来しましょう。西洋史の世界なら、英語が読めるとより楽しめます。歴史は、どんな視点や角度で見るかによって、まるで変わります。自分なりの視点や角度を持つために、今の社会をしっかり生きることが大切です。ニュースや日常的な出来事、校則、戦争など、「なぜ?」と思うことを書き留めておきましょう。それが視点を得るきっかけとなり、役立ってくれます。

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