アニメ産業を支えるコンテンツの力
監督中心の日本と、分業制作のアメリカ
今や全世界で人気のアニメーションは、国によって制作体制が大きく異なります。日本では、宮崎駿監督とスタジオジブリに代表されるような、監督中心の個別スタジオ体制が主流です。一方アメリカでは、ディズニーに代表されるような巨大コングロマリット(複合企業)のもと、分業で制作が進められています。『トイ・ストーリー』などで知られるピクサーは、CGを専門にするスタジオとして有名で、ディズニーの子会社です。アニメーションは今や大変な勢いがあり、世界でも注目を集めるコンテンツですが、日本とアメリカを比較する際には、産業構造の違いにも注目する必要があります。
「メディアミックス」は日本のお家芸
日本のアニメ産業を考えるうえで、「メディアミックス」は重要なキーワードです。大ヒットしたアニメ『鬼滅の刃』は漫画として始まり、企業とのコラボレーションによるさまざまなメディアミックスを通じて大きな経済効果を生み出しています。コンテンツの力は、飲食や玩具メーカーなどの他業種にまで影響を及ぼしているのです。実は日本では古くからキャラクタービジネスが確立しています。1963年日本初のテレビアニメ『鉄腕アトム』に始まり、とくに1990年半ば以降、『ポケットモンスター』を筆頭とするキャラクタービジネスは海外でも大きな成功をおさめています。
世界に広がる日本アニメ
一時期もてはやされた「クールジャパン」は、政府主導による経済的かつ外交的な側面の強いムーブメントでした。これからはクールジャパンの文脈ではない、世界各地で草の根的に支持の広がりをみせている日本のアニメなどのコンテンツに注目し、そのグローバルな展開を捉え直す必要があるでしょう。また、急速に変化をみせつつある子どものメディア環境に焦点を当てた研究も、今後ますます重要になります。YouTubeやTikTokなどの新しいメディアが台頭する中で、メディアの教育的な役割と商業的な側面の両方について考えることも、大きな課題となっています。
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先生情報 / 大学情報
ノートルダム清心女子大学 人間生活学部 人間生活学科 准教授 葉口 英子 先生
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先生への質問
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