映画や演劇の内容・作風を分析すれば、その国の文化が見えてくる
「曖昧」にすることで、より多くの人にアピール
「JUST DO IT.」「i'm lovin' it」などのキャッチコピーを広告に用いている、スポーツ用品メーカーやファストフードチェーンがあります。具体的な商品名ではなく、曖昧な「it」を用いているのはなぜでしょうか。DoやLoveの対象をあえてぼかすことで、「より広い層の消費者に共感してもらいたい」という考えがあるのです。
「Drive Your Dreams.」というキャッチコピーを使っている日本の自動車メーカーがありますが、これも、どういう夢なのかをはっきり言わないことで、運転そのものの楽しさや、ドライブ中に目にする景観などを想起させる狙いがあるでしょう。
その国の文化や宗教観が作品の味わいを変える
広告と同様、映画や演劇にも、何かを伝えたい・感じさせたいという思いが込められています。ただ、国ごとの文化や歴史、宗教観によって作風は違っていて、同じようなシーンでも、登場人物がどんなセリフを語るかは国ごとに差があります。
例えば邦画の場合、「悪役」は怖い顔立ちの俳優が、乱暴な言葉づかいで演じるパターンが多いですが、アメリカやイギリスの映画で、「いかにも悪役」といった感じのシーンはあまり見られません。ホラー映画も、日本はジワジワと恐怖を感じさせる作品がほとんどですが、アメリカ映画はダイレクトに観衆を怖がらせます。
「なぜこの表現を使ったのか」を語学的に分析
映画や演劇の場合、その作品が作られた時代の世相も反映します。例えば戦争映画の場合、その国が直面している社会問題を、史実と織り交ぜて描いた内容が目立ちますし、大人と子どもが一緒に楽しめるようなアニメーション作品では、家族を取り巻く子育て環境や教育問題など、親子で話し合って何かを感じるようなテーマが隠れています。
英語圏の映画や演劇、広告などを題材に、「どんな狙いでその表現を選んだか」を分析するのも、英文学の研究ジャンルの1つなのです。
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北九州市立大学 外国語学部 英米学科 教授 ヘイルズ アダム 先生
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