身の回りのさまざまな問題をデータ分析で解決!

身の回りのさまざまな問題をデータ分析で解決!

運転技能の改善につなげるツール

日常生活に密接するさまざまな問題を取り上げ、それについてのデータを収集・分析することで解決をめざす研究が行われています。
一つは警察との協同研究で、運転者の技能評価を視覚化するツールの開発です。被験者にオブジェと呼ばれる計測システムのセンサーを頭と右足に装着して運転してもらい、首の動きやペダル操作をすべて記録します。ただし、その計測されたデータをもとにしたグラフだけでは、運転者は評価の理由がわかりません。そこでデータをもとに、地図上でその人の運転と視野の動きを動画で再現し、どこが悪かったのかが視覚的にわかるツールが開発されています。

救急車の最適な配置を予測

高齢化により、救急車の出動要請は今後増加すると考えられます。そこで、滋賀県彦根市を対象に、救急車を増車する場合、どこに増車すればもっとも現着時間を短縮できるかを予測する研究が行われました。まず統計学的手法で今後の人口分布の推移を予想し、それに対する救急車の出動件数を予測した結果、令和17年には今の約2割増加するという結果が出ました。そこで市内各分署の現在の負荷を分析し、どこの分署に増車するのがもっとも効果的であるかが解析されました。

高齢者の歩行能力を調査

年を取ると体力が衰えて歩行能力が低下します。その結果、転倒などでけがをして入院や介護が必要になり、自治体などの財政を圧迫する大きな原因の一つとなっています。そこで、高齢者の歩行能力維持に役立てるため、キネクトモーションセンサーで高齢者が歩くときの各関節の動きを記録して分析・調査する実験が行われています。体の各部分の左右のずれなどを調べ、バランス能力・推進力・姿勢の3つの観点から評価して被験者にフィードバックするのです。
この歩行調査のシステムを用いた研究対象は高齢者だけではありません。大きな社会問題となっている歩きスマホについても、なぜ危険なのかをデータに基づいて明らかにするための分析が進められています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

滋賀大学 データサイエンス学部 データサイエンス学科 准教授 川井 明 先生

滋賀大学 データサイエンス学部 データサイエンス学科 准教授 川井 明 先生

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情報学

メッセージ

身の回りを観察してみると、歩きスマホやあおり運転などいろいろな問題があることに気づきます。そうした問題を発見したら、その問題の原因は何なのか、どうすれば解決や改善ができるのかということを考えてみましょう。問題意識を持つことは大学での研究に発展しますし、起業して自分の仕事にすることにもつながるかもしれません。年を取ってくると周りのものを見慣れて問題を見過ごしてしまいがちになるので、若い人にこそ鋭い観察力が期待されます。ぜひ問題意識をもって周りを観察しましょう。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

滋賀大学に関心を持ったあなたは

滋賀大学は新しい価値を創造する未来創生大学を目指します。未来を拓く力のキーワードは、データサイエンスリテラシーとリベラルアーツです。Society5.0時代における読み書きそろばんである数理データサイエンス・AIの基礎能力と、複雑化した現代社会の問題を解決するために必要とされる幅広い知識や、複合的な視点からアプローチできる総合力を身につけたうえで、柔軟かつ多様な文理融合(他分野複合)型専門性を持った問題解決型の人材を育成し、社会と共に未来創生に貢献する大学を目指します。