遊園地の人気アトラクションを待たずに楽しむ方法はあるのか
人気アトラクションは長蛇の列
ディズニーランドなどテーマパークや遊園地の人気アトラクションでは、長蛇の列をよく見かけます。このような混雑の原因の一つは、会場内の「人の偏り」です。偏りを解消しようと、近年では携帯電話やスマートフォン、掲示板などで、来場者が混雑情報をチェックできる仕組みがつくられています。混雑情報は来場者の行動にどのような影響を与えるか、コンピュータの中に仮想遊園地をつくり、シミュレーションしてみましょう。
混雑情報と来場者の行動の関係
最初は、来場者がそれぞれランダムに目当てのアトラクションに行き、混雑していれば並んで順番を待ちます。そこから出たら次にめざすアトラクションを決めるのですが、このとき来場者はある確率で混雑情報を受け取り、それをもとに目当てのアトラクションから空いているものを見つけて移動します。情報を受け取らない場合、目当てのうち近いものに移動します。
混雑情報を全く提供しない場合は、真ん中に位置するアトラクションが混みやすい傾向にありました。混雑はアトラクションの場所に関係していたのです。一方混雑情報を提供した場合、混雑は緩和されましたが、情報を与える割合が一定レベルを超えると、かえってあるアトラクションの混雑がひどくなってしまいました。「このアトラクションが空いている」という情報を与えたために、来場者がそこに集中してしまったのです。情報の提供にもさじ加減が必要というわけです。
相互作用で生まれる普遍的な特徴を理解し生かす
混雑は、集団の中の、個々の動きの相互作用によって現れる現象と言えます。このような「創発現象」は、実は自然や社会のあらゆる場面で起きています。高性能な計算機が手軽に使える今、コンピュータの中に人工世界をつくりシミュレーションする手法で、創発現象の特徴を理解し、問題解決に生かすことができるのです。例えば、「噂はどのように広まるか」「クラスの仲良しグループはなぜ長続きしないか」など、あなたの身の回りのさまざまな疑問にも答えをくれるはずです。
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先生情報 / 大学情報
名古屋大学 情報学部 自然情報学科 准教授 鈴木 麗璽 先生
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