特殊なカメラと画像処理技術で、農作物の成長を自動診断!

特殊なカメラと画像処理技術で、農作物の成長を自動診断!

ICTやAIで農業をサポート

スマート農業という言葉を聞いたことがあるでしょうか。スマート農業とは、情報通信技術(ICT)やAIを活用した新しい農業です。スマート農業を導入すれば農作業の負担を軽減できるため、日本の農業が抱える高齢化や人手不足の問題の改善につながると期待されています。
スマート農業の一環として、画像処理や機械学習を使って農作物の成長を測定する技術が開発されています。

ピーマンの収穫時期を予測

そのひとつが、「RGB-Dカメラ」を使ってピーマンの草高や葉の面積を推定し、収穫時期を予測するシステムです。RGB-Dカメラとは、普通のカメラで撮れる可視画像に加え、近赤外線で測った距離をもとにした「距離画像」も撮影できるカメラです。RGB-Dカメラをピーマンの上に設置して距離画像を撮影し、画像処理して草高を推定します。このシステムは、実際の計測値と比較して94~100%の精度を出すことに成功しています。一方、葉の面積は、ピーマンを真上と斜め45度の2方向から撮影し、とらえられた点の集まり(点群)から葉や茎の三次元の形状をコンピュータ上で復元して推定します。現在は、人が面積計などを用いてピーマンの葉面積を確認していますが、画像による推定が実用化されれば、農作業の自動化につながるでしょう。

機械学習でお茶の葉期を推定

お茶の木は、芽が出て葉が増えていく段階ごとにそれぞれ1葉期、2葉期と分けられ、3~5葉期が葉を摘み取るのに適した時期です。この各葉期の画像を学習させて、画像から葉期を推定させるディープラーニングのモデルが開発されています。まず学習のための画像を収集するアプリを制作し、収集したデータをラベル付けしてAIに学習させます。現段階ではまだデータが少ないため、推定の精度をあげるためさらにデータを増やしているところです。
近い将来、実際に畑に行かなくてもスマホをチェックすれば作物の成長の様子が確認できるという農業のスタイルが、当たり前になっているかもしれません。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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鹿児島大学 工学部 情報・生体工学プログラム 准教授 福元 伸也 先生

鹿児島大学 工学部 情報・生体工学プログラム 准教授 福元 伸也 先生

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画像処理工学

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メッセージ

情報系に進みたいと考えているなら、勉強に関して言うと、数学をしっかり勉強しておきましょう。そして勉強だけでなく、幅広くアンテナを張って、さまざまな情報をキャッチしてみましょう。今はインターネットなどで最新技術のニュースに簡単にアクセスすることができるので、ぜひ興味を持って接してみてください。成績で学科を選ぶ人も多いですが、大学では自分の本当にやりたいことを見つけてほしいです。そのために、いろいろなことに興味を持って取り組んでみてください。

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鹿児島大学は、日本列島の南に位置し、アジアの諸地域に開かれ、海と火山と島々からなる豊かな自然環境に恵まれた地にあります。この地は、我が国の変革と近代化を推進する過程で、多くの困難に果敢に挑戦する人材を育成してきました。このような地理的特性と教育的伝統を踏まえ、鹿児島大学は、学問の自由と多様性を堅持しつつ、自主自律と進取の精神を尊重し、地域とともに社会の発展に貢献する総合大学をめざします。