先生の「教える」と「成長する」が両立する仕組みとは
学校の変革期に、教師をサポートする研究
今、社会ではさまざまなことが変化しており、10年先、20年先が読めなくなっています。教育界でも新しい学校の仕組みづくりが急務となっており、今後どのような教育を提供するのか、新しい学校の形はどうあるべきかといった課題を考え、学校教育を転換しようとしています。学問領域としては行政側から教育を考える分野があり、学校をより良い場所へ変えていくために、教育の内容そのものだけでなく、教える側の教師についての研究も行われています。
教師の成長を促す政策が必要
中学や高校の教師が仕事をしながら成長するためには、どのような政策が必要なのか、どのように教師の成長をサポートしていくかといった視点から到達したのが、「自律的な教師をつくる」という研究です。自律的とは、上から育てられるのではなく、自分たちで律しながら学びを深めていくことです。教師として成長する環境設定を考え、政策につなげていく研究は、学校や社会にも及ぶ重要性があります。具体的には、国から地方行政へ下りてきた改革的な政策をつくる際に、教師が受動的な対応でなく、疑問を持ち議論ができる余地のある政策となれるように、研究者が提言しています。
日本特有の学校制度も生かしながら
日本の学校教育を研究する際には、海外の事例も調べます。比較してわかるのは、学校に職員室や職員会議がある、毎年春になると教師の異動がある、という日本の制度は世界でも独特だということです。日本の教師は協力や相談をしながら生徒のことを考え、集団で頑張っており、これは専門用語で「同僚性」と呼ばれています。教師が同僚性の中で成長してきたことが、日本の学校の強みでもあります。ある意味、日本ほど教師が真剣に生徒の話をしている国はないともいえるでしょう。もっと良い教育をしたいと考えている教師をサポートするために、教育界は動いており、これは地方分権の推進とも連動しています。
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