講義No.12674 教育

先生の「教える」と「成長する」が両立する仕組みとは

先生の「教える」と「成長する」が両立する仕組みとは

学校の変革期に、教師をサポートする研究

今、社会ではさまざまなことが変化しており、10年先、20年先が読めなくなっています。教育界でも新しい学校の仕組みづくりが急務となっており、今後どのような教育を提供するのか、新しい学校の形はどうあるべきかといった課題を考え、学校教育を転換しようとしています。学問領域としては行政側から教育を考える分野があり、学校をより良い場所へ変えていくために、教育の内容そのものだけでなく、教える側の教師についての研究も行われています。

教師の成長を促す政策が必要

中学や高校の教師が仕事をしながら成長するためには、どのような政策が必要なのか、どのように教師の成長をサポートしていくかといった視点から到達したのが、「自律的な教師をつくる」という研究です。自律的とは、上から育てられるのではなく、自分たちで律しながら学びを深めていくことです。教師として成長する環境設定を考え、政策につなげていく研究は、学校や社会にも及ぶ重要性があります。具体的には、国から地方行政へ下りてきた改革的な政策をつくる際に、教師が受動的な対応でなく、疑問を持ち議論ができる余地のある政策となれるように、研究者が提言しています。

日本特有の学校制度も生かしながら

日本の学校教育を研究する際には、海外の事例も調べます。比較してわかるのは、学校に職員室や職員会議がある、毎年春になると教師の異動がある、という日本の制度は世界でも独特だということです。日本の教師は協力や相談をしながら生徒のことを考え、集団で頑張っており、これは専門用語で「同僚性」と呼ばれています。教師が同僚性の中で成長してきたことが、日本の学校の強みでもあります。ある意味、日本ほど教師が真剣に生徒の話をしている国はないともいえるでしょう。もっと良い教育をしたいと考えている教師をサポートするために、教育界は動いており、これは地方分権の推進とも連動しています。

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先生情報 / 大学情報

滋賀大学 教育学部 学校教育教員養成課程 教育文化専攻 准教授 藤村 祐子 先生

滋賀大学 教育学部 学校教育教員養成課程 教育文化専攻 准教授 藤村 祐子 先生

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教育行政学、教師教育学

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メッセージ

大学は、高校での勉強とはまったく異なる、学問をする場です。これまでは何かを深く追究するよりも、すでにあるものを習得していく傾向が強かったはずです。大学では、そうした知識を踏まえて現在何が起こっていて、それに対して自分はどう考えるのか、どういうことができるかを学問的に深めていきます。私たちの教育学部では教育をテーマに、どうあるべきかを思考します。今まで知らなかったことを探究し、考えることの楽しさを感じてみてください。入学後の学問がどんなに充実しているか、期待を持って大学に来てください。

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滋賀大学は新しい価値を創造する未来創生大学を目指します。未来を拓く力のキーワードは、データサイエンスリテラシーとリベラルアーツです。Society5.0時代における読み書きそろばんである数理データサイエンス・AIの基礎能力と、複雑化した現代社会の問題を解決するために必要とされる幅広い知識や、複合的な視点からアプローチできる総合力を身につけたうえで、柔軟かつ多様な文理融合(他分野複合)型専門性を持った問題解決型の人材を育成し、社会と共に未来創生に貢献する大学を目指します。