「居場所がない」子どもの生活を支援する福祉施設の役割
非行にはしる子どもを支援する
社会福祉の研究分野の中に、非行や問題行動を起こす子どもについての研究があります。非行の内容は時代とともに変わりますが、現在はどこにも受け入れられない「居場所のなさ」からくる行動が多くなっています。そうした行動を起こす子どもたちの中には、どこかで誰かが理解し支えていればここまで崩れなかっただろうという子どもがたくさんいます。虐待を受けてきた子どももいます。家での養育が期待できない場合、子どもの生活を安定させることで立ち直れるようサポートする施設があります。それが「児童自立支援施設」です。
児童自立支援施設での生活
本来、子どもは保護者のもとで育てられるものですが、児童自立支援施設では子どもを保護者から一旦引き離し、1年半から長ければ3年程度、落ち着いた生活を送らせます。この判断は児童相談所が行います。ここではルールにのっとった生活が送られます。これを「枠のある生活」と言い、規則正しい生活をすることで子どもが自信をもてるようになるのです。施設の中には学校もあるので、教育も受けられます。
また、この間、保護者に対しては児童相談所や施設職員が保護者自身の課題を克服する支援をしていきます。
職員の支援能力の向上にかかわる研究者
施設の職員は親代わりです。一人ひとりのニーズに合わせた支援を行う、こういった社会福祉の専門援助者を総称してソーシャルワーカーと呼びます。人の人生を左右する責任重大な仕事ですが、それだけにやりがいがあります。
この施設は各都道府県に設置されていますが、1カ所しかない県が多いので、職員は共同して研修をするなどして支援能力を高める努力をしています。その際、研究者は客観的なアドバイスをしたり、制度を説明したりして現場にかかわります。あまり知られていない分野ですが、これも社会福祉の一つなのです。
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先生情報 / 大学情報
東京家政大学 人文学部 教育福祉学科 教授 平戸 ルリ子 先生
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