遊びを取り入れた楽しい作業療法で、子どもの育ちを支援する
作業療法士は心と体のリハビリの専門家
リハビリテーションというと、「病気やケガなどによって低下した運動機能を回復させるために行われるもの」という認識が一般的だと思います。このような基本動作の機能回復や維持、悪化予防などを専門的に行うのは理学療法士です。それに対して作業療法士は、社会への適応に向け、心と体のリハビリを行う専門家という位置づけになります。
起きて服を着替え、食事をし、家事や仕事をするといった動作は、日常生活を送る上で必要な機能です。その人らしい生活、潤いのある毎日を送るために、こうした生活に関する動作の改善や回復をサポートするのが作業療法士の主な役割です。
子どもの育ちの支援も
脳卒中などの後遺症や脳性麻痺などの体に障がいのある人だけではなく、発達障がいや自閉症スペクトラムと診断された子どもたちへの作業療法も大きな意味を持っています。長い間座っていられない、集中して話が聞けないなどの症状から、学校生活になじめず通学できなくなる子どももいます。そうした症状には必ず原因があり、それを突きとめて作業療法によって対処できれば、症状が改善されて学校生活への適応も期待できるのです。
教育現場でも必要とされる作業療法士
物を触ることを極端に嫌う自閉症の子どもがいました。お母さんの話から赤ちゃんのころハイハイをしなかったので、手の感覚に対する経験が極端に不足していることがわかりました。そこで「遊ぶ」という作業療法の中で“手を使う”という場面を意図的にさりげなく取り入れることを繰り返したところ、症状は少しずつ改善され、ペンを持って絵が描けるようになったのです。
物事がうまくいくと、楽しいものです。遊びを取り入れながら運動や感覚を刺激することで、無意識のうちに成功体験を得ることが有効なのです。こうした子どもの発達支援は就学前が効果的ですが、発達障がいなどが就学後に見つかることも多いので、作業療法士がもっと自由に教育現場に出入りできる体制づくりが求められています。
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先生情報 / 大学情報
東北文化学園大学 医療福祉学部 リハビリテーション学科 作業療法学専攻 教授 本多 ふく代 先生
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