持続可能な取り組み まちを盛り上げる「地域ビジョン」

持続可能な取り組み まちを盛り上げる「地域ビジョン」

解決すべき課題が多い「中山間地域」

日本各地の市や町で、地域の高齢化や、町を支える人たちの数が減少しています。山形県酒田市の日向(にっこう)地区もそのひとつです。日向地区は「中山間地域」と呼ばれる、山に近く自然豊かな場所であるものの、平らな土地が少なく農業を営むのに不利な面も持ち合わせた地域です。人が暮らすうえでも、多くの解決すべき課題があります。例えば、日向地区は豪雪地帯ですが、除雪をできる人材が減少していることが大きな課題でした。そこで住民が集まり課題解決策を検討するワークショップをおこなった結果、地域外からボランティアを受け入れるという仕組み作りにつながりました。

めざす「地域ビジョン」を作る

日向地区における地域づくりは、当初は地域における課題や強みを出し合って課題を解決するためにおこなわれていました。次第に、目に見える課題の解決に注力するだけでなく、めざす目標を定めなければ将来を思い描けないということで、「地域ビジョン」を作ることになりました。日向地区に限らずに、同じような人手不足や過疎化といった問題を持つ地域で、住民自身が主体的に地域ビジョンを作って活性化させていこうという動きがあります。その場合、取り組みやすい計画を作ることが重要です。

具体的で楽しみながら続けていける目標の設定

日向地区の地域ビジョンは「いろいろな世代がみんなで支え合える地域」です。ビジョンを実現するために、コミュニティカフェで使用できる「にっこりポイント」という独自の地域通貨を作り、住民のお困りごとを地域で解決する仕組みを作ろうとしています。また、地域の人々が郷土料理である「納豆汁」の作り方を学び、味を残していくプロジェクトや、地域でとれる野菜「日向からどり」のブランド化などに力を入れて地域を活性化しようと動いています。もちろんすぐに結果が出る取り組みではありません。しかし、具体的でありながらも住民自身が楽しんで取り組める計画を立てることで、現実的に歩みを続けられるようにすることが大切なのです。

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東北公益文科大学 公益学部 公益学科 准教授 小関 久恵 先生

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メッセージ

高校生は受験を控えていることもあり、課外活動などをする機会はなかなかないでしょう。カリキュラムがきっちり決まっていて、学校外での時間を作りづらい環境だと、「世界はもっと広い」ということに気づかずに過ごしがちです。この世界は学校という狭い世界だけではありません。もし学校で生きづらさを感じているとしても、いくらでもほかの世界が存在します。そういったことに気づけるように、例えば映画や本などを通して広い世界を知り、可能であれば地域の活動に参加することをおすすめします。

東北公益文科大学に関心を持ったあなたは

東北公益文科大学は、経営、政策、地域福祉、国際教養、観光・まちづくり、メディア情報の6つの専門コースに加え、社会福祉士養成課程を設置し、地域や社会の課題に取り組む人材の育成を目標としています。1つのコースを軸足に他コースも幅広く学べるほか、「データサイエンス・AI 教育プログラム」の導入やダブルメジャーを選択することも可能です。