人の顔から何を読み取る?
非言語情報の重要性
コミュニケーションは、情報をキャッチボールして伝え受け取る行為です。やり取りされる情報は、言語情報と非言語情報に分けられます。非言語情報には、表情や視線、しぐさや姿勢に加え、服装やメイク、時にはアクセサリーも含まれます。特に顔は、その重要な情報源となります。人は相手の顔を見て、その人のプロフィールや感情などを推測するからです。相手の顔からどのような情報を読み取ってコミュニケーションに活用しているか、ということについて、認知心理学や感性評価の手法を用いた研究が盛んに行われています。
メイクやしぐさが与える印象
中でもメイクが与える印象は、さまざまな研究が行われている対象の一つです。例えば、就職活動をする際のメイクとしては、ノーメイクや口紅が真っ赤なのは向いておらず、淡いピンクやオレンジの方が適しているという結果が報告されています。また、ビジュアル系バンドのメイクの分類に関する研究が学会で注目を集めたこともあります。
しぐさの印象に関しては、同じ表情にさまざまなしぐさ(頬づえ、腕組みなど)を加えた場合の印象の違いを調べた研究があります。現在までのところ、しぐさの有無による大きな違いは確認できていません。しぐさ以上に、顔の表情の影響が大きい可能性もあり、今後の研究が待たれます。
顔の印象をつくるパーツの配置情報
人が顔を見たとき、「目が大きい」「眉が真っすぐ」といった、顔のパーツの大きさや形に関する情報と、「目が離れている」のような配置に関する情報の両方を受け取っています。「優しそう」「怖そう」といった、顔全体から受ける印象には、配置の影響の方が大きいことがわかっています。
警察の似顔絵捜査において、目撃者が捜査官に伝えやすいのは印象情報です。顔の記憶を言葉で伝えて似顔絵を描く実験から、パーツに関する情報よりも、全体の印象の方が共有しやすいことが裏付けられています。印象と配置の関係が明らかになれば、より精度の高い似顔絵が作成でき、捜査に役立つことが期待できます。
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先生情報 / 大学情報
金沢工業大学 メディア情報学部 心理情報デザイン学科 ※2025年4月開設 教授 渡邊 伸行 先生
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