認知心理学で研究される読解のコツ「方略」
読んで理解するための良い方法とは
「教育心理学」は、臨床心理学や認知心理学など、複数の心理学にまたがった「教育」に関わる領域を指します。そのうち、人間の知的な活動に焦点をあてた認知心理学の研究テーマのひとつに、「読解」があります。「読んで理解する」とは、「文字で描かれた世界を頭の中で再構築する」ことであり、読解のより良い方法や教育方法の研究が進められています。
文章を早く正確に理解するコツ
読解の研究の中に学習のパフォーマンスを上げる研究があり、1980年代頃から、問題を解く際の要領の良い方法「方略(ほうりゃく)」が研究されてきました。文章の読解の有効な方略も提案されています。その1つに、理解の深さに対応した7つの方略があります。例えば、ゆっくり読む、繰り返して読む、重要な所には線を引くなどの方略があり、これらは従来、国語の授業で教育されてきました。一方、「理解度をチェックする質問を自分自身にする」など、有効でも授業であまり取り上げられない方略もあります。方略そのものの研究と並行して、指導方法についての研究が進められ、学校教育に取り入られています。
フェイクニュースへの向き合い方
読解に関する研究の今日的なテーマとして、「フェイクニュースや偽科学に接した際の認知のアップデート」があります。どのように対処すればだまされないか、一度信じたことを考え直せるかが調査されています。例えば、「納豆で免疫力がアップするとネズミの実験で証明された」という偽のブログを読んでもらったあとで、さまざまなコメントを読ませる実験が行われました。その結果、「ネズミの実験が人間に当てはまるか?」など論理的に無理があることを指摘したコメントが、認知のアップデートに役立つことがわかりました。さまざまな調査結果をもとに、情報を批判的に捉えて吟味できる人材を育成するために役立てる方法が考えられています。
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