講義No.07102 教育 社会学

それは「デマ」か「真実」か? 社会学なら見えてくる!

それは「デマ」か「真実」か? 社会学なら見えてくる!

同じ星の下に生まれたのは運命?

クラスの中に同じ誕生日の人がいると、「すごい!運命だ!」と喜ぶ人がいます。しかし23人集まればその中に同じ誕生日の人がいる確率は5割を超えており、必ずしも「運命」とは言えません。同じように「罪を犯した人は再び繰り返す」という言葉は必ずしも正しくはありません。なぜなら、社会学者H・S・ベッカーが構築した「ラベリング理論」で明らかになっているように、「犯罪者」とレッテルを貼られることで周囲から排除され、再び犯罪に走るケースがあるからです。
このように、私たちはある事柄を一つの視点から見がちで、しかもそれは正しいことだとは限りません。そのため、正しいかどうかを調べる力が必要になってくるのです。

「耳を傾ける」ことが社会学の第一歩

社会学では、さまざまな調査手法を用いています。例えば、国勢調査のような質問紙調査(アンケート調査)もその一つで、「量的調査」と呼ばれます。もっと身近なところでいえば、自分の両親や祖父母へのインタビューも調査手法の一つで、「質的調査」に該当します。過去の話を聞く中で、私たちは、世代間の考え方や生活様式などの違いを知り、誰もが時代の影響を受けつつ生きていることに気づくのです。調査をすることで、自分の経験や発想にはなかったことを知ることができる、これが社会学の魅力になっています。

まちづくりにも社会学が生かされている

三重県には学生がプロデュースした「宇治山田の和紅茶」という商品があります。これは、もともとは東京の学生への質問紙調査(アンケート調査)から生まれたものです。調査結果によると、三重県のイメージは「伊勢神宮」や「松阪牛」ばかりでした。ほかに何かないだろうかと調べたところ、日本茶の生産量が全国3位であることを知り、まちづくりに生かすことになったのです。
このように、気になったテーマを調査し、データを収集し、それを分析していく中で、新たなことを発見したり、まちづくりや商品開発、社会貢献にもつながる、それが「社会学」という学問なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

皇學館大学 現代日本社会学部 現代日本社会学科 准教授 藤井 恭子 先生

皇學館大学 現代日本社会学部 現代日本社会学科 准教授 藤井 恭子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

社会学、教育社会学、地域社会学

先生が目指すSDGs

メッセージ

現代日本社会学部では「NIPPONを動かそう」を合言葉に、社会に貢献できる人になるための学びを提供しています。現代社会のさまざまな課題を発見し、それを解決していくために、大学では知識だけでなく、フィールドワークなど実践的なカリキュラムを用意しています。
また「宇治山田の和紅茶」をプロデュースした地域社会研究会や、地域の魅力を学生の目線で伝える「大学生テレビ局」など、学生主体のプロジェクトも活発です。まちづくりや地域活性化に興味があるなら、ぜひ一緒に皇學館大学で学びましょう!

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

皇學館大学に関心を持ったあなたは

本学は、明治15年(1882)年に創立された皇學館を前身とし、官立の神宮皇學館大學を経て昭和37年に再興された、日本でも有数の歴史ある大学です。創立130周年を迎えた歴史を通し、神道を根幹とする建学の精神を一貫して継承。文学部(神道学科・国文学科・国史学科・コミュニケーション学科)、教育学部(教育学科)、現代日本社会学部(現代日本社会学科)の3学部6学科を設置し、学問研究の実践に努めるとともに、独自の人間教育に力を注ぎ、幅広い分野で卒業生は高い評価と信頼を得ています。