それは「デマ」か「真実」か? 社会学なら見えてくる!
同じ星の下に生まれたのは運命?
クラスの中に同じ誕生日の人がいると、「すごい!運命だ!」と喜ぶ人がいます。しかし23人集まればその中に同じ誕生日の人がいる確率は5割を超えており、必ずしも「運命」とは言えません。同じように「罪を犯した人は再び繰り返す」という言葉は必ずしも正しくはありません。なぜなら、社会学者H・S・ベッカーが構築した「ラベリング理論」で明らかになっているように、「犯罪者」とレッテルを貼られることで周囲から排除され、再び犯罪に走るケースがあるからです。
このように、私たちはある事柄を一つの視点から見がちで、しかもそれは正しいことだとは限りません。そのため、正しいかどうかを調べる力が必要になってくるのです。
「耳を傾ける」ことが社会学の第一歩
社会学では、さまざまな調査手法を用いています。例えば、国勢調査のような質問紙調査(アンケート調査)もその一つで、「量的調査」と呼ばれます。もっと身近なところでいえば、自分の両親や祖父母へのインタビューも調査手法の一つで、「質的調査」に該当します。過去の話を聞く中で、私たちは、世代間の考え方や生活様式などの違いを知り、誰もが時代の影響を受けつつ生きていることに気づくのです。調査をすることで、自分の経験や発想にはなかったことを知ることができる、これが社会学の魅力になっています。
まちづくりにも社会学が生かされている
三重県には学生がプロデュースした「宇治山田の和紅茶」という商品があります。これは、もともとは東京の学生への質問紙調査(アンケート調査)から生まれたものです。調査結果によると、三重県のイメージは「伊勢神宮」や「松阪牛」ばかりでした。ほかに何かないだろうかと調べたところ、日本茶の生産量が全国3位であることを知り、まちづくりに生かすことになったのです。
このように、気になったテーマを調査し、データを収集し、それを分析していく中で、新たなことを発見したり、まちづくりや商品開発、社会貢献にもつながる、それが「社会学」という学問なのです。
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皇學館大学 現代日本社会学部 現代日本社会学科 准教授 藤井 恭子 先生
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