中小企業に求められるイノベーション、その4つのタイプ

中小企業に求められるイノベーション、その4つのタイプ

中小企業に求められる革新

現代は社会情勢が目まぐるしく変化しており、従来通りの経営を続けるだけでは企業を維持することが難しくなっています。どれだけヒット商品があっても、5年後、10年後も売れ続けているとは限りません。日本には非常に多くの中小企業がありますが、会社を維持・発展させるために、経営者たちはどのようなイノベーション(経営革新)を行っているのでしょうか。

経営革新の4つのタイプ

中小企業の経営者や従業員への聞き取り調査によって、経営革新の事例分析が進められています。その結果、経営革新には大きく分けて4つのタイプがあることが確認されています。1つ目は新商品の開発や生産、2つ目は新サービスの提供、3つ目は新たな生産方式や販売方式の導入、そして4つ目は世の中になかった事業活動を生み出すことです。
鉄板を加工するある町工場の経営革新事例があります。主な事業内容は大手企業に納める部品製造です。技術力、人材、金属加工設備、材料などはそろっていますが、大手企業からの注文がないと仕事が発生しません。そんな工場を引き継いだ新社長は、「本当に作ってみたかった商品を作ってみよう」と従業員に提案し、2週間の期間と材料を与えました。その結果、金属製の名刺などこれまでになかった自社商品が生まれ、一般の消費者からも人気が出ました。新商品を開発するだけでなく、販売先を企業から一般の消費者にも広げたことで、経営革新に成功したのです。

強みを伸ばす経営革新

経営革新の手法を考えるときは、会社の外部にある機会と脅威、社内にある強みと弱みを分析します。ただ、「脅威」のある領域で会社の弱みを克服するような経営革新は、人・モノ・金・情報といった資源が十分にある大企業にしかできません。そのため中小企業には、「機会」のある領域で強みを発揮し、社会の変化に適応するような経営革新が向いているといえます。中小企業の経営者たちを支えようと、各社に適した経営革新の手法や効果を探る研究が続いています。

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秀明大学 総合経営学部  教授(学部長) 森中 祐治 先生

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メッセージ

社会人の基礎力として問題解決力が注目されています。将来的には、AIが解決方法を教えてくれるかもしれません。しかし問題の「ありか」を見つけるのは、人間のほうが得意だと思います。そもそも問題が見つからなければ、解決は難しいのです。そして、いざ問題があるとわかっても焦る必要はありません。情報処理の世界では、「問題」とはトラブルではなく、あるべき姿と現状とのギャップだと考えます。ギャップを埋めて理想をかなえるためにも、問題を発見する力を大学で磨いてほしいです。

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秀明大学の総合経営学部は、企業人として活躍できる能力を総合的に備えた人材を育成することを目的としています。幅広い進路に対応するため、「起業」「企業会計」「ビジネス」の3コースが設けられています。起業コースは、将来、会社を創業し自分で経営したいという進路を、企業会計コースは企業の経理部門や税理士等の専門職をめざす進路を、ビジネスコースは一般企業への就職のほか公務員や大学院進学者への多様な進路を歩んでいくコースです。