人々の命を支える農業を、未来へ向け持続させる政策とは

人々の命を支える農業を、未来へ向け持続させる政策とは

日本の農業事情

農家の技術や土地の承継は、昔から親から子へというケースが大半でした。しかし今は違います。農業に専念する人たちが減り、会社勤めと農業の両方を行う兼業農家が増えました。そうなれば土地を手放す農家も増えます。一方でほかの地域から農業を希望して移住するIターンや、一度都会へ出た後、地元に戻って農業に従事するUターンも増えています。そうした新規就農者に、どのように農地を提供するか、どのようにして農業のノウハウを習得してもらえるかが、農業の現在の課題です。

次世代農業の生産基盤としての「スマート農業」

それぞれの地域ごとに、さまざまな課題への対処法があります。例えば都市近郊の農村で、兼業農家が自分たちの農地を手放す場合、その土地を新規就農者らに提供して、彼らが作物を収穫できるようになるまでサポートします。うまくいけば、生産した作物を、都市部のスーパーで販売できるかもしれません。
さらに今、農林水産省を中心に力を入れているのが「スマート農業」です。これまでは機械を導入し、作物をうまく育て収量を上げることに注目していました。スマート農業で求められているのは、集めた情報を的確に判断できるデータにし、生産者に提供する技術です。それによって圃場(田畑)の土壌分析や、労働時間の管理などといった、従来の農業のプラスアルファの部分に力を入れられるからです。この時重要なのは、それぞれの土地に必要なデータや技術がどのようなものあるかを見極める能力です。

日本の食料を支える持続可能な農業とは

持続可能な農業への道は、今後も模索し続けるでしょう。なぜなら農業や漁業などの第一次産業は、私たちの食を支え、命を支え、国を維持するのに欠かせないからです。そのため政府や行政などと関わる業種も多く、いろいろな農業政策が打ち出されています。それぞれの地域で次世代にどうバトンタッチしていくか、長年受け継がれてきたノウハウをどのように次世代に引き継ぎ、普及させていけるかが、今後の日本の農業を支える大切なポイントです。

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先生情報 / 大学情報

岩手県立大学 総合政策学部 総合政策学科 教授 新田 義修 先生

岩手県立大学 総合政策学部 総合政策学科 教授 新田 義修 先生

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農業経済学、農業政策論

先生が目指すSDGs

メッセージ

将来何をしたいか、できるだけ具体的に思い描くと、高い確率で実現すると思います。大学は人生の通過地点ですので、どのような経験をしたいのかについて考えておくことをお勧めします。
具体的には、高校まで学んだ「知識」を社会で使える「知恵」に換えるために、実習、インターンシップ、卒業論文などを通じた体験の場を大学では用意しています。
同じ研究テーマを持つ先生も、アプローチの違いによって内容ががらりと変わります。自分なりの仮説を検証することで見えてくる未知の世界を知ることで、農業経済学の面白さを伝えたいです。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

岩手県立大学に関心を持ったあなたは

大学は「知識」を得る場であるだけではなく、「人生の目的」を考える場であり、これからの人生で自分は何をなすべきかを探求する場でもあります。人はそれぞれ固有の素質と能力を持っています。それをいかに見出し、育成していくかが教育の最大課題であると考えています。この大学での貴重な学習期間に、自己の能力と個性を伸ばし、適性を見出すことに努めてください。本学の教職員は、全力を挙げてこれに協力します。