福祉とは、その人の人権を尊重すること
地域を見守り、医療につなぐ
人は、慣れ親しんだ土地で安心して住み続けたいものです。地域住民が世代を超え、ともに支え合いながらいつまでも快適に暮らせる社会を、地域共生社会と言います。それには住民たちが自ら福祉に参加し、助け合い支え合って暮らす環境づくりが大切です。そこで支援や援助を行うのが「CSW」です。コミュニティソーシャルワーク、もしくはコミュニティソーシャルワーカーの略称で、主に社会福祉協議会に置かれています。CSWは、大切な2つの役割を担います。1つは「個別支援」で、一人一人の相談にのり援助します。もう1つが、「地域支援」です。
よりよく生きるためのつなぎ
「地域支援」とは、地域の人たちに認知症や発達障害への理解を深めてもらう活動です。具体的には、その地域の公民館や集会所で講話を行い、福祉への参加を促します。また、講話を聴いて相談にきた住民の話を聞き、その地域に住む発達障害や認知症の人たちの早期発見や、医療機関へつなげる「早期つなぎ」を行います。それが医療の提供と地域での見守り・支えにつながり、地域共生社会を実現します。福祉は実践です。こうした活動も、CSWが動くことで社会に貢献できます。最近は、都会だけでなく地方でも住民同士のつながりが薄れる傾向にあり、CSWの存在はますます重要になるでしょう。
その人らしく生きる権利を守るために
ところで日本で福祉といえば、社会的弱者に奉仕をするなどというイメージがありますが、そうではありません。例えば日本で学校に通えない子どもは、高校生までで約25万人と言われます。理由は発達障害によるものをはじめ、いじめや虐待などさまざまですが、共通して言えるのは、その子どもたちは教育を受けるという当然の権利を奪われているということです。そうした子どもの支援や、地域で一生暮らし続けたいと願う人の支援は、その人の人権を尊重していると言えます。福祉とは、その人がその人らしく生きる権利を積極的に守ることなのです。
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先生情報 / 大学情報
福井県立大学 看護福祉学部 社会福祉学科 教授 佐野 治 先生
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