役割も可能性も幅広い、「社会福祉士」の仕事とスキル
福祉のイメージは「介護」?
福祉というと、「高齢者」「障害者」「介護」といった言葉をイメージするかもしれませんが、その対象はもっと幅広いものです。
その中で「社会福祉士」という福祉の専門職は、身体的・精神的・社会的な問題を抱えている人に対し、問題を解決することに関わっていきます。そのためには、本人、個人への直接的な援助だけではなく、家族や仕事といった生活背景まで含めて、医療などの専門家と連携したり、行政や民間などの制度や福祉サービスといった社会資源を活用したりして、包括的な支援を行います。さらに、国や地域における福祉制度の策定や、社会資源の開発など、福祉の幅広い領域を担っています。
福祉に求められるのは「優しさ」?
福祉には「優しさ」といったイメージもありますが、社会福祉士には多様なスキルが求められるため、それらを養うためにさまざまな演習を行います。例えば、子どもの詩を題材に、最初は文末だけを読み、次に全体を読んで印象や感想を比較します。また、1枚の葉っぱを観察・模写した後、枝から幹や根、水や空気といった葉っぱを取り巻く環境へと視野を広げていきます。このような演習は、他者に対する共感性や感受性を高めると同時に、自分自身への理解も深め、より良い人間関係を構築していくトレーニングになります。そして、ある対象に近づいたり離れたりしながら、人や物事を理解・考察していく視点の習得にもつながるのです。
学びが生かせるのは、福祉の領域だけ?
相手の思いや考えをくみ取り、引き出したニーズに対して、幅広い角度から対応方法を見出していくプロセスや対人援助の考え方は、企画、営業、サービスなどの職種や業種にも生かすことができます。また、近年は少子高齢化によって多くの企業がシニア層に注目しており、社会福祉士の知識や資格を持つ人材の要請も高まっています。また、人生で家族や友人、あなた自身が困難な問題に直面したとき、福祉の学びはそれを解決する大きな力にもなってくれるのです。
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先生情報 / 大学情報
関西学院大学 人間福祉学部 社会福祉学科 教授 川島 惠美 先生
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