恐竜が吸っていた空気とは? 未来を予測する白亜紀の地球環境研究
白亜紀の地球環境
恐竜が栄えた白亜紀の地球環境は、現在とは大きく異なっていました。平均気温が高く、北海道のような地域でも海水温度は28度程度に達していたのです。CO₂濃度も現在の3倍以上だったと推測されています。CO₂濃度の高い空気でも生きられるように、恐竜は、ヒマラヤの上を飛ぶ鳥のような気嚢(きのう)システムを持っていたという説が唱えられています。また、中生代の初期は大陸は一つにまとまっていました。そこから分裂が進行して白亜紀には幾つもの大陸に分かれました。白亜紀は、現在とは地形も気温もCO₂濃度も異なります。そのため植生や動物の分布も大きく異なっていました。恐竜は、今とは違う空気を吸い、全く異なる景色の中で暮らしていたのです。
地球の気候変動の繰り返し
地球上では、大陸の集約と分散が繰り返されてきました。大陸が集約されると山脈の形成が活発になり、地表の「化学的風化作用」により生じた物質とCO₂が結合して大気中のCO₂濃度が下がり、地球を寒冷化させます。一方、大陸が分裂すると大気中の温室効果ガスが増加し、地球全体の気温が上昇する傾向があります。大陸の集約と分散の繰り返しは、温暖期と寒冷期の繰り越しでもあります。そういった環境変動に生物は適用してきました。地球は一つのシステムになっているのです。
温暖化が進んだ地球環境を予測する
現代は大陸の集約期に入っており、寒冷期に相当します。しかし、人類が排出するCO₂による温暖化が冷却を上回っているのが現状です。今後、急激に温暖化が進むと、地球は白亜紀のような環境になります。白亜紀の地球環境を研究することは、地球温暖化がさらに進んだ場合の地球環境変化の予測精度の向上に貢献します。また、極端な環境下で生物がどのように生き延びて進化するかについての手がかりを提供し、生物の進化や絶滅の過程を理解することにもつながります。白亜紀の地球は、遠い過去の物語ではありますが、私たちが直面している現代の課題と深く関連しているのです。
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