講義No.14755 看護学

誰もが幸せでいられる高齢者ケアのあり方を探る!

誰もが幸せでいられる高齢者ケアのあり方を探る!

超高齢社会と老年看護学

少子高齢化が進む日本では、現在人口のおよそ10人に3人が65歳以上の高齢者です。2070年にはそれが10人に4人になるといわれています。令和5年の調査では、特別養護老人ホームなどの高齢者長期ケア施設で生活している人は約97万人おり、その人たちの人生の最終ステージを支えるケアの重要性は増すばかりです。看護学の中でも老年期を対象とする「老年看護学」では、加齢や疾患によって機能が低下した高齢者の生活を支えるケアやコミュニケーションの工夫、家族への支援、専門職の連携など、さまざまな視点で研究が進められています。

高齢者はどんなときに幸せを感じる?

高齢者ケア施設は、高齢者の生活の場です。この場をどのようにコーディネートできるかが、高齢者の生活の質の向上に結びつきます。
高齢者長期ケア施設で生活している高齢者は、どのようなときに幸せを感じるのでしょうか。以前の研究で明らかになっていた「体が健康であること」や「痛みがないこと」のほかにも、「生活の中で自分の意思で決められること」「職員が笑顔でいること」が、高齢者自身が感じる幸福度に大きく影響することがわかってきました。高齢者長期ケア施設で高齢者が心地よく過ごすためには、自らの生活を選択できる環境と、施設でスタッフが幸せに働ける環境づくりが重要なのです。

スタッフが幸せに働くためには?

高齢者ケアに関わるスタッフの中でも、介護職は最初から介護職をめざした人だけでなく、ほかの職業を経ている人などもいます。また、看護職も病院などで臨床経験を経てから就職した人もいれば、新人看護職として就職する人もいます。このように、さまざまなバックグラウンドを持った人たちの働く意欲や働きがいにつながるのは、自分の将来に見通しが立つことであり、そのためのキャリア支援が重要になります。
高齢者と高齢者を支えるスタッフが、共に幸せでいられるケアのあり方を考えることが重要なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

富山県立大学 大学院看護学研究科  准教授 伊藤 裕佳 先生

富山県立大学大学院看護学研究科 准教授伊藤 裕佳 先生

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老年看護学

メッセージ

かなえたい夢があるなら、諦めないでください。私は決して優秀ではありませんでしたが、看護師になることと教育に携わることの2つの夢がありました。新設された4年制大学から大学院へと進み、卒業後に看護師として働いたあと、恩師の紹介で大学の教員になりました。さまざまな人との出会いを経て今があるのは、夢を諦めなかったからです。あなたも進みたい未来をイメージしてみてください。夢を持ち続けること、行動に移すこと、そのための勇気を持つことが、あなたの未来を引き寄せると信じています。

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本学は、1990年の建学以来、創造力と実践力を兼ね備えた人材育成や高度な研究開発、産業界との連携による地域貢献を果たしながら、最適な教育・研究環境を整えてきました。
2024年4月には、「情報」を軸とする工学の専門知識と、データサイエンスの専門知識を兼ね備え、デジタルの力を活用して社会の潜在的課題の解決策を導き出す能力を持った人材を育成する、「情報工学部」を新設しました。新しい校舎も建設予定です。
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