魚の行動を見抜け! 持続可能な漁業実現のために
水中カメラで魚の行動を解析
限りある海の資源を守るために、効率的かつ魚を獲りすぎない漁業を行うには、まず魚の行動についてよく知る必要があります。そこで、水中カメラを使って魚の行動を計測する研究が行われています。沿岸漁業の1つである定置網漁業の漁場に水中カメラを設置、撮影し、どんな魚がどの時間帯に定置網に入るのかを調べるのです。撮影データは膨大な量となるため、画像処理技術による魚体の自動検知が行われています。例えば「エッジ検出」という手法により、水中の景色と魚の色の境界を検出して魚が写っているかどうかが判別できます。将来的には魚の種類も判別できるようにしてそれぞれの行動を解析し、漁獲制限のある種類の魚が定置網に入りすぎないような対策につなげることが目標とされています。
超音波でも計測
水中カメラだけでは、暗いときや水が濁って視界が悪いときなどはデータを得ることができないので、超音波を使った魚の行動計測も行われています。漁船で使われる魚群探知機は、海中に数十~数百キロヘルツの超音波を送信し、魚から跳ね返った反射波を受信して魚群を検知しています。魚の詳細な情報を取得するために、数メガヘルツの高周波超音波を使った計測手法も研究されています。高周波の利用で計測可能な範囲は狭くなりますが、魚の体の部位の特徴を反映した反射波が返ってきます。この反射波の特徴を利用した、魚の種類の判別や大きさの測定ができるような技術開発も進められています。
泳ぎ方の特性を解析
また実験室では、トンネル型の水槽で水流を作り、魚が泳ぐ能力や特性が調べられています。水流の速度を変えて魚が泳ぐ様子を動画に撮り、機械学習技術を使って解析します。まず頭や尾びれなど、トラッキングしたい部位にラベルをつけます。実験室環境であれば100枚程度の画像で学習させると、魚を自動で追跡して、動きを数値化、グラフ化することができます。こうして魚の泳ぎ方の特性がわかれば、その魚の泳ぎに合わせた網のひき方をするなど、効率的な漁業に応用できます。
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