バイオプラスチックによるサーキュラーエコノミーへの貢献

バイオプラスチックによるサーキュラーエコノミーへの貢献

バイオマスの課題

気候変動など地球環境の大きな変化を受け、従来のリニアエコノミー(大量生産大量消費)から、サーキュラーエコノミー(CE:リデュース、リユース、リサイクル)への変換が急がれています。新潟県は全国有数の米の産地であり、農作物の非食用部分が多く排出されます。これらは、植物から生まれた生物資源である「バイオマス」です。これらが廃棄される際に発生するCO₂の量は、もとの植物が吸収した量と同等であり、トータルではカーボンニュートラルになります。ただし、これらは嵩張るために輸送費がかかり、付加価値の高い用途が見つかっていませんでした。

ウッドプラスチック(WPC)

木粉と熱可塑性プラスチックの複合材料であるWPCは、木材とプラスチック双方の特徴を兼ね備えた素材として住宅エクステリア用デッキ材を中心に利用されています。内装建材用途に比べ、バイオマスである木粉の充填率が50%以上と高いのが特徴です。熱可塑性プラスチックとしては、ポリエチレンやポリプロピレン(PP)が使用されています。もみがらを木材代替のバイオマス素材として使用すべく、粒子サイズの最適化、および粉砕方法の開発が進められています。また、併用する熱可塑性樹脂に、生分解性プラスチックなどを併用して、トータルとしてのバイオプラスチック原料の比率を上げる方法も研究されています。

地元企業と協力する

新潟県の燕三条地域は、工業製品を中心としたものづくりが盛んな地域です。新しいプラスチックの実商化(社会実装)には、外観、生産性評価などの生産現場での試験が欠かせません。このプロセスを経ることにより、社会実装が現実化してきます。このような研究開発は、循環型経済であるCEを推進するものです。SDGsの7番目のエネルギー項目に合致するだけでなく、資源の効率的な利用に対する工夫、資源に左右されない製品の創造、地域の活性化、非食用バイオマスの利用を通じたサーキュラーエコノミーなど、さまざまな目標の達成に貢献するものです。

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三条市立大学 工学部 技術・経営工学科 教授 和田 浩志 先生

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工学、技術・経営工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

「カーボンニュートラル」や「サーキュラーエコノミー」のような、言葉は知っているけれども具体的な内容は理解できていないものはありませんか? ぼんやりとしかわかっていないことは、本やインターネットを調べて、知識を棚卸ししてください。そうすると、自分にできることは何なのかを具体的に考えられるようになります。興味はヒントがなければ湧いてきません。よく理解できずに素通りしそうな言葉を詳しく調べることが、そのヒントになるはずです。

三条市立大学に関心を持ったあなたは

三条市立大学は、2021年4月に開学した新しい大学です。多様な加工技術が集積するこの地域全体をキャンパスとし、機械工学を軸として多岐にわたる分野の学問を組み合わせた学修と、実践的な技術感覚を養う産学連携実習を特長としています。多様な工学技術についての深い知識に加えて、経験をもとにした創造性や実践力があり、技術と経営を効率的に組み合わせる技術マネジメント力を有する「創造性豊かなテクノロジスト」を育成します。