植物の生存戦略を探り、未来のバイオマス利用社会に生かそう!
植物が行う光合成に、高まる期待
地球温暖化を引き起こす要因の1つとされる二酸化炭素(CO₂)の排出量を減らし、資源を枯渇させない低炭素社会をめざして、いろいろな取り組みが行われている中、CO₂を吸収する植物に大きな期待が寄せられています。
植物は光エネルギーを使って光合成を行い、CO₂を糖などの有機物に変えています。この「植物にしかできない」光合成のメカニズムを明らかにし、環境への負荷を減らす循環型社会に生かす研究が進んでいます。
実験に最適な「モデル植物」とは?
植物の仕組みを解析し、応用につなげるためには植物の情報や資源をたくさん蓄積する必要があります。そこで植物に共通した基本的な仕組みを調べるために「モデル植物」が研究対象として使用されています。自然環境の中では通常1年に1~2回程度しか採種できない植物では、データの蓄積はままなりません。環境をそろえながら室内で短期間に栽培でき、遺伝子組換えが可能な「モデル植物」を使うことは、とても有効な方法です。実験室で最適な「モデル植物」としては、「シロイヌナズナ」や「ミナトカモジグサ」、「ヒメツリガネゴケ」などが挙げられます。
植物の仕組みが、未来の社会に貢献する!
植物が動物と大きく異なる点は何でしょう? その1つは「動けない」ということです。風雨にさらされても、日照り続きで辛くても、その場所から逃げることはできないのです。しかし植物は環境の変化に適応し、大きくしたり増やしたり、強くしたりしながら、とても長い年月をかけて進化を続けてきました。植物の生存戦略ともいえるそのメカニズムを、植物の遺伝子(DNA)から解き明かし、生活に役立つ植物を作るための研究が求められています。
20世紀の経済活動は、資源の枯渇、CO₂の増加、人口増加にともなう食料不足を引き起こしました。21世紀の低炭素社会、さらにはバイオマス利用社会の実現に植物は必要不可欠であり、そのメカニズムの解明が急がれているのです。
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先生情報 / 大学情報
宮城大学 食産業学群 食資源開発学類 教授 日渡 祐二 先生
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