名医を超えるAI画像診断技術の開発
世界中が注目するAIによる画像診断
レントゲンや超音波、CTやMRIなどを用いて体の内部を撮影し、その画像から病状を調べることを「画像診断」といいます。しかし、その画像を読み解くことはとても難しく、医師の経験値に左右されます。場合によっては、病のわずかな兆候を見逃してしまう危険性もあります。そこで近年は画像の特徴を自動的に抽出するAI(人工知能)技術の導入が進み、医師の診断を的確にサポートするための研究が世界中で進められています。
AI診断の開発が抱える問題
AIで画像診断のプログラムを作成するには、多くの症例画像が必要です。1つの病気に対してさまざまな画像をAIに学習させることで、病気による特徴的な変化のパターンを発見する精度が向上していきます。実際の医療では、画像だけでなく触診や患者の過去の病歴や生活習慣など、さまざまな情報を組み合わせて総合的に診断します。これらの情報もAIに学習させることができれば、診断の精度はさらに高まると考えられます。しかし、現在の国内法ではプライバシーに関する規制が厳しく、必要なデータを収集することすら難しいのです。医療における個人情報保護と技術発展のバランスを踏まえた法規制を再構築することは、1つの大きな課題です。
名医を超える診断技術をめざして
現在の診断は、医師たちの目によって定められた評価が基準となっています。しかし、AI画像診断がめざすところは人間の能力を超えるような技術です。つまり、人間の医師が今まで見つけられなかった病を見つけられるようにならなくてはなりません。さらに、今生じている病気を発見するだけでなく、5年後や10年後に発症する確率が高い病の兆候を発見できるようにすることが、AI画像診断に課せられた目標です。
超早期発見や予測が可能になれば、今からできる対策や治療法の選択肢が広がります。これは医師へのサポートだけでなく、さまざまな病から人々の健康な生活を守ることにもつながります。
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先生情報 / 大学情報
三条市立大学 工学部 技術・経営工学科 教授 島田 哲雄 先生
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