講義No.06908 教育 社会学

さまざまな学問とのコラボで問題解決に挑む「教育学」

さまざまな学問とのコラボで問題解決に挑む「教育学」

朝食を食べるだけで成績は上がる?

文部科学省は平成21年度の全国学力・学習状況調査で、「朝食を食べる子どもほど平均正答率が高い」という結果を発表しました。朝食で栄養を補給しないと脳も体もエネルギー不足になってしまい、集中力がなくなることは科学的にも証明されています。それなら、子どもたちが朝から学校で給食を食べられるようにすれば、日本中の子どもの学力はさらに向上するでしょうか?
毎朝きちんと朝食を食べるためには、まず規則正しい生活を送らなければなりません。準備や一緒に食事をする家族の存在も重要です。学力の向上は、単に朝食を食べた結果ではなく、生活リズムや家庭環境が整っているからこそ表れた結果なのです。

教育問題は学校だけの問題ではない

教育現場は今、いじめや不登校、学級崩壊、過疎化・少子化による閉校、入試制度など、いくつもの問題を抱えています。このような問題を改善する方法を考えるのが、教育学の役割のひとつです。しかし、教育問題だからといって、学校だけを見つめても問題の全体像はつかめません。教育問題は、社会の抱えるゆがみの表れでもあります。現象を短絡的に結びつけるのではなく、複眼的な視点で社会全体のシステムをとらえなければ、問題の本質に迫ることはできないのです。

大学で教育学を学ぶということ

教育問題は、教育の視点から心理学や社会学、法学、経営学、行政学など、さまざまな分野の手法を用いて考えることで、その本質が見えてきます。「教育心理学」「教育社会学」「教育経営学」「教育行政学」など、教育学は、さまざまな分野とコラボレーションしながら答えを探す学問なのです。そういった意味で教育学を究めることで、ほかの分野も同時に学べるという特長があります。
学校教育は、誰もが体験します。大学で教育学を学ぶということは、自分が受けてきた教育の歴史を振り返ることでもあります。教育学は、自分自身と向き合い、見つめ直すきっかけをくれる学問でもあるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

九州大学 教育学部  教授 元兼 正浩 先生

九州大学 教育学部 教授 元兼 正浩 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

教育学、教育行政学

メッセージ

私の専門は、「教育法制」「教育行政学」で、教育や教育行政のさまざまな問題について、法律や制度などシステムを改善することで、より良い教育のあり方を追究する学問分野です。問題の本質を理解するためには、情報を鵜呑みにせず、批判的に見つめる「複眼的」なまなざしが求められます。
高校生のあなたにも、この複眼的な視点から、あらゆる可能性を探れるようになってほしいと思います。日頃感じる「なぜ?」という疑問は、ぜひ掘り下げるようにしてください。悩み多き青春時代には、しっかり悩むことも大切です。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?

九州大学に関心を持ったあなたは

九州大学は、教育においては、世界の人々から支持される高等教育を推進し、広く世界において指導的な役割を果たし活躍する人材を輩出し、世界の発展に貢献することを目指しています。また、研究においては、人類が長きにわたって遂行してきた真理探求とそこに結実した人間的叡知を尊び、これを将来に伝えていきます。さらに、諸々の学問における伝統を基盤として新しい展望を開き、世界に誇り得る先進的な知的成果を産み出してゆくことを自らの使命として定めています。