さまざまな学問とのコラボで問題解決に挑む「教育学」
朝食を食べるだけで成績は上がる?
文部科学省は平成21年度の全国学力・学習状況調査で、「朝食を食べる子どもほど平均正答率が高い」という結果を発表しました。朝食で栄養を補給しないと脳も体もエネルギー不足になってしまい、集中力がなくなることは科学的にも証明されています。それなら、子どもたちが朝から学校で給食を食べられるようにすれば、日本中の子どもの学力はさらに向上するでしょうか?
毎朝きちんと朝食を食べるためには、まず規則正しい生活を送らなければなりません。準備や一緒に食事をする家族の存在も重要です。学力の向上は、単に朝食を食べた結果ではなく、生活リズムや家庭環境が整っているからこそ表れた結果なのです。
教育問題は学校だけの問題ではない
教育現場は今、いじめや不登校、学級崩壊、過疎化・少子化による閉校、入試制度など、いくつもの問題を抱えています。このような問題を改善する方法を考えるのが、教育学の役割のひとつです。しかし、教育問題だからといって、学校だけを見つめても問題の全体像はつかめません。教育問題は、社会の抱えるゆがみの表れでもあります。現象を短絡的に結びつけるのではなく、複眼的な視点で社会全体のシステムをとらえなければ、問題の本質に迫ることはできないのです。
大学で教育学を学ぶということ
教育問題は、教育の視点から心理学や社会学、法学、経営学、行政学など、さまざまな分野の手法を用いて考えることで、その本質が見えてきます。「教育心理学」「教育社会学」「教育経営学」「教育行政学」など、教育学は、さまざまな分野とコラボレーションしながら答えを探す学問なのです。そういった意味で教育学を究めることで、ほかの分野も同時に学べるという特長があります。
学校教育は、誰もが体験します。大学で教育学を学ぶということは、自分が受けてきた教育の歴史を振り返ることでもあります。教育学は、自分自身と向き合い、見つめ直すきっかけをくれる学問でもあるのです。
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先生情報 / 大学情報
九州大学 教育学部 教授 元兼 正浩 先生
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