次世代型農業が未来の農業を支える
農業従事者数の減少
日本の基幹的農業従事者の数は年々減少しています。2010年には約200万人だったのに対して、2020年は約136万人にまで減少しました。さらに10年先をシミュレーションした結果によると、農業従事者の総数は現在のおよそ半数にまで減少することが予測されています。
カッコ良くて儲かる農業にするために
一方で、農作物の生産量を比較してみると大幅に下がっているわけではありません。これは、大型の機械を導入するなどの農作業の効率化や、肥料や苗の改良などの技術の進歩によって、農業従事者一人当たりの生産量が増加しているからです。農業従事者の数がさらに減少していく将来にも生産量を維持していくためには、現在の農業をさらに効率化し、先端技術を取り入れた次世代型農業への取り組みが求められています。その結果、未来の農業はカッコ良くて儲かる職業となるはず、と期待されています。
先端技術が支える次世代型農業支援システム
次世代型農業支援システムに取り入れる先端技術の多くは、一見難しそうに思われがちですが、スマホの操作のように農業従事者も自ら使いこなせるものです。例えば、広い農地で必要になる農薬の空中散布は、これまでは無人ヘリで行っていたため多くを業者に委託しました。現在は技術の進歩によってほぼ自動化されているドローンを用いて多くの農家が自ら手軽に農薬散布や種まきなどを行っています。また、入力から結果までが自動でできる統計的検定学習支援用アプリで集計することで、農家が自らマーケティング調査を行うことも比較的簡単にできます。なお、野菜の好みなどの消費者のニーズを調べるには、さらなるエビデンスを追求する手法として脳活動計測機器を使った食嗜好調査に関する試みも行われています。
次世代型農業システムの開発は、さまざまな分野からのアプローチが試みられています。実際の農業に導入するには、これから整備や検討が必要なものもありますが、日本の農業の未来を守るためには早急に研究を推し進めなければいけない課題なのです。
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先生情報 / 大学情報
県立広島大学 生物資源科学部 地域資源開発学科 教授 朴 壽永 先生
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