ゲームエンジンでサイバー農場! スマート農業を実現する技術

ゲームエンジンでサイバー農場! スマート農業を実現する技術

Society5.0時代の農業とは

現在、国では「Society(ソサエティ)5.0」というビジョンを制定して、未来の社会の構築をしようとしています。狩猟社会(1.0)、農耕社会(2.0)、工業社会(3.0)、情報社会(4.0)に続く新たな社会の形として、サイバー空間と現実空間を高度に融合させる仕組みをつくる研究が行われているのです。
その中で、農業においてもサイバー空間で畑や畜舎を再現してシミュレーションし、現実空間に反映するスマート農業の研究が進んでいます。

ゲームエンジンを農業に応用

そうした研究の一つとして「ゲームエンジン(ゲームをつくる技術をまとめたもの)」の応用が注目されています。ゲームではキャラクターの表情、動きがリアルに表現されていますが、それら技術を使ってコンピュータ上に動物の飼育や植物の栽培のプロセスを再現しようとしています。
そのためにはまず、動植物の状態を簡単に、かつ正確に計測する技術が必要です。一例として、奥行きを把握できる深度カメラで動物を三次元(3D)撮影することで、動物の体型測定や体重推定が瞬時にできる技術があります。また植物でも同様に、生育状況を3D計測によりコンピュータ上で3Dでリアルに再現する方法も研究されています。

持続可能な農業のために

サイバー空間の大きなメリットは、大量のシミュレーションができる点です。実際には広い農場で何カ月もかかるプロセスも、コンピュータ上なら場所もいらず短時間で生育を観察でき、それを繰り返すことで大量の実験データが得られます。
こうした技術開発が進んで「サイバー農場」ができれば、シミュレーション結果をもとに適切な農場の設計や、肥料や農薬の散布計画の策定が可能になります。農業の最適化は、収量を増やすとともに、農薬や肥料の無駄をなくす、廃棄物を減らすなど、環境への負荷も軽減できます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

茨城大学 農学部 地域総合農学科 教授 岡山 毅 先生

茨城大学 農学部 地域総合農学科 教授 岡山 毅 先生

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農業環境工学、農業情報工学

メッセージ

生き物自体がとても興味深い研究対象ですし、食糧生産という点でも農学は大切な学問です。そして、サイバー空間で現実を再現してシミュレーションし、それを現実世界と連動させて農業生産を最適化するスマート農業は、これからの社会に欠かせません。これは未来を変えていくことができる魅力的な研究ですので、多くの人に興味を持ってほしい分野です。大学は新しい文化を創造して社会に発信していく場です。自分自身が新しいものを創造して未来を変えていくのだという気持ちで、大学をめざしてください。

茨城大学に関心を持ったあなたは

茨城大学は、人文社会、教育、理、工、農の5学部からなる中堅的地方総合大学です。校地は水戸・日立・阿見の3地区に分かれており、各キャンパスとも学生を中心とした環境づくりを進め、教育研究施設の充実を図っています。幅広い教養教育と高度の専門教育により専門家として自立できる人材を育成するため、学部・大学院にて多様な学習の場を用意し、各分野で世界を先導する研究活動を推進しています。