ストレス社会に求められるポジティブ心理学:エゴレジリエンス
肯定的な感情に焦点を当てる
心理学では長い間、うつや気持ちが暗くなる傾向に焦点が当てられていましたが、2005年ごろから、どうしたらそのような心理状態にならずに済むかという予防心理学という考え方が広がってきました。これは、暗い気持ちや病んだ時の心理ではなく、肯定的な気持ちや時を忘れて楽しんでいる時の心理や幸福感について考える研究です。すなわちどのようにすれば気持ちを切り替えて前向きに生活できるかに焦点を当てた研究で「ポジティブ心理学」と命名されています。今までの心理学ではあまり光が当たってこなかった領域です。この「ポジティブ心理学」の1つに「エゴレジリエンス」があります。
ストレスを上手に調整する力がエゴレジリエンス
エゴレジリエンスとはストレス状況にある時に「自分を調整する力」のことです。エゴレジリエンスの高い人はストレスが高い期末試験の時には頑張れますし、終わった時には自分を解放してリラックスすることが上手です。例えば、期末テストをがんばった後、次のテストに向けて勉強をする人はごく少数で、多くは遊びに行ってストレスを解消します。そのスイッチが入れられる人はストレスに打ち勝つことができます。エゴレジリエンスの高い人は、上手に自分を調整するスイッチ力が高いと考えられています。
ポジティブな心理を育てストレス社会を生きる
エゴレジリエンスの力は、もともと人間に備わっていると言われていますが、小さい時から「あなたはダメな子だ」と否定されて育ち、本来の自分が形成できなかった人はその力が弱いと考えられています。しかしそのような人でも、自分を見直し、自分の弱さに気づければエゴレジリエンスの力は育てられると考えられます。
エゴレジリエンスの研究が行われるようになったのは、現代社会のストレスの多さがその背景にあります。うつ傾向の人が多い現代社会だからこそ、ポジティブ心理学の必要性が高まっています。
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先生情報 / 大学情報
目白大学 心理学部 心理カウンセリング学科 教授 小野寺 敦子 先生
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