中国語を身につけるには? 時代ごとの「最新」教育法
教科書は旅行記?
日本人向けの中国語の教材は、昔も今も英語の教材に比べると多くはありません。少ないからこそ、教育者や研究者が工夫を凝らして教材を研究開発してきた歴史があります。
1900年代の教科書を調べると、文法よりも「会話力」重視だったことがわかります。警察や軍関係、獣医師などさまざまな職業の人がそれぞれに教科書を作っていました。神戸から上海に船で渡って、中国を旅して帰国するまでのリアルな旅行会話が200ページにわたって記録されています。チケットを買ったり飲食したり、時には強盗に襲われたりと、映像が浮かんでくる旅行記のような内容です。
音声を学びやすくなったのは1920年代にラジオ講座が始まったころからです。全国で活用してもらえるように、テキストが新聞に掲載されたこともありました。
コンピュータを使いたい
漢字が続く中国語は切れ目を判断するのが難しく、30年ほど前まではウェブ上で漢字を表示することも難しい状況でした。授業を楽にして教えやすくするためにも、コンピュータを活用した教材を作りたいという動きが生まれ、2020年代にはAIをいかに活用するかの研究が進んでアプリの開発も盛んです。パソコンの前でしゃべった中国語の正確性を判定してくれるアプリは、コロナ禍で多くの授業に採用されて、現在も月50万人以上に利用されています。
読み書きが大事に
スマホ全盛の今は、「書く力」と「読む力」を養う教材設計が大事になると考えられています。口頭で注文していた飲食店では、二次元コードから商品を選ぶことが普通になってきました。メニューが理解できないと思い通りに頼めないことになり、目で見た中国語を処理する力やチャットで会話する力が必要になるというわけです。近年作られた日記の教材は、AIが間違いチェックや書き方の助言、点数による評価をしてくれます。日記の画像をSNSに投稿することで、学習コミュニティーも広がっています。「使える中国語」のために教材は変化し続けているのです。
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